研究課題/領域番号 |
11304019
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
固体物性Ⅰ(光物性・半導体・誘電体)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
澤田 安樹 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (90115577)
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研究分担者 |
鈴木 勝彦 宮城工業高等専門学校, 総合科学系, 教授 (80187715)
大野 裕三 東北大学, 電気通信研究所, 助教授 (00282012)
江澤 潤一 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (90133925)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2001
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キーワード | 量子ホール効果 / 複合ボソン / 活性化エネルギー / 層間コヒーレンス / ボーズ凝縮 / ガリウム砒素 / 凝スピン / スピン |
研究概要 |
独立2層系ν=2量子ホー状態の活性化エネルギーの横磁場依存性を測定した。それぞれの層で1層系ν=1量子ホール状態を形成しているので、1層系ν=1状態特有の熱励起であるコヒーレントなスピンの集団反転であるスカーミオン励起と同じ熱励起が期待される。しかし磁場に対する勾配から励起に関わるスピン反転数を求めると、トンネルギャップが大きい試料では2倍のスピン反転数14を得た。横磁場が大きくなるとともに、スピン反転数は7,1と減少する。1層化したν=1量子ホール状態では7である。またトンネルギャップが小さい試料ではスピン反転数14の励起はない。初めて得られたこの結果は、1層系ν=1量子ホール状態のコヒーレントなスピンの集団励起であるスカーミオンがトンネル相互作用によって、2層で同時に1層系と同じスカーミオン励起が起きていることを示す。 さらに、総電子密度と電子密度差を変えて2層系ν=2/3量子ホール状態の相図を作った。ヒステリシスと非量子ホール状態で分けられた3つの領域に量子ホール状態が形成されることが明らかになった。これら3つの量子ホール状態の領域は横磁場を加えた活性化エネルギーの測定からスピン偏極・擬スピン非偏極状態、スピン偏極・擬スピン偏極状態、スピン非偏極・擬スピン偏極状態として複合フェルミオンのエネルギー準位で定性的には説明することができる。ここで擬スピンは2層のどちらに電子が存在するかを擬スピンの値で示している。しかし定量的にはそれらの境界はサイクロトロンとトンネルエネルギーの競合、ゼーマンとサイクロトロンエネルギーの競合によって決まる。その結果得られるサイクロトロンエネルギーの再規格化定数は両境界で大きな不一致を示し、これまで考慮されなかった複合フェルミオンの相互作用が重要であることを実験結果は示した。
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