研究概要 |
○装置の導入および性能の確認 1 電子線走査ユニットおよび高角散乱暗視野像検出器を現有しているオメガ型エネルギーフィルター電子顕微鏡に装着するために必要な電顕本体および走査ユニットの改造を行い,同検出器を電顕本体に装着した. 2 電子顕微鏡の照射系レンズに対する最適な励磁条件を見出し,条件設定を行った.この最適な励磁条件の検索は今後も継続して行う必要がある. ○デカゴナル準結晶の解析 1 われわれのグループが見出した非中心対称デカゴナル準結晶Al_<70>Ni_<15>Fe_<15>の高角散乱暗視野像を撮影し,原子クラスターの対称性が五回対称であることを確認した.また高分解能電子顕微鏡像でこれまで直接観察されていなかった反転分域境界に存在する0.2nmの反位相シフトを直接観察することに成功した,反位相シフトの存在を高角散乱暗視野像で初めて確認した.さらに高角散乱暗視野像およびAl_<13>Fe_4近似結晶の構造をもとにAl_<70>Ni_<15>Fe_<15>の構造モデルを作成した. 2 組成および温度により多様な超格子秩序を示すことが知られているAl-Ni-Co系デカゴナル準結晶のうちAl_<68>Ni_<20>Co_<12>およびAl_<70>Ni_<18>Co_<12>の高角散乱暗視野像を撮影し,原子クラスターの対称性およびその配列を調べた.その結果,いずれの相でも五回対称原子クラスターが局所的に周期配列してナノ結晶分域を形成していること,および両相の違いはナノ結晶中のクラスター配列の違いによることを明らかにした. 3 デカゴナル準結晶と関連の深いAl_<13>Fe_4およびτ^2倍にインフレーションしたAl_<13>Co_4近似結晶から高角散乱暗視野像を撮影し,Al_<13>Fe_4とτ^2-Al_<13>Co_4のクラスター構造の関係を明らかにした.τ^2-Al_<13>Co_4近似結晶中にデカゴナル準結晶の五回対称クラスターが含まれていることを明らかにし,デカゴナル準結晶との関連を明らかにした.さらに高角散乱暗視野像およびAl_<13>Fe_4近似結晶の構造をもとにτ^2-Al_<13>Co_4の構造モデルを作成した.
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