研究課題
基盤研究(A)
ヒマラヤ山脈の上昇プロセスのテクトニクスに関して次の成果を得た。(1)エベレストの山頂から三葉虫、介形虫、海ユリ化石を含むフィーカルペレット質石灰岩を発見すると同時に、その直下のデタッチメント断層を確認した。断層直下のイエローバンドは完全に変成しており、そのAr-Ar年代は約40Maであることが判明した。(2)東ネパールの変成岩ナップの眼球片麻岩の原岩は、Kuncha層に貫入した花崗岩であり、ナップ前縁部の黒雲母のRb-Sr年齢は約7Maであることが判った。モンスーン気候の変動に関しては次の成果を得た。(1)カトマンズ盆地の湖成堆積物のコアの花粉分析の結果、約100万年前以降現在まで、寒冷・乾燥気候と温暖・湿潤気候(氷河期と間氷期に対応)が周期的に繰り返していること、約100万年前から214万年前までは顕著な周期的変化はみとめられず、温暖で湿潤な気候が卓越していたこと、堆積速度は平均約1m/万年で、約100万年前に一度湖の水位が低下したことが判明した。(2)古カトマンズ湖の縁辺相堆積物の研究から、約100万年前に砕屑物の供給源が変成岩・花崗岩地帯から変堆積岩地帯へと変化し、供給方向が、北方から南方に変わったことが判明した。これはヒマラヤの前縁山地の上昇と前縁衝上断層の活動の変化を示唆している。
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