研究課題/領域番号 |
11304030
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
酒井 治孝 九州大学, 大学院・比較社会文化研究院, 教授 (90183045)
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研究分担者 |
桑原 義博 九州大学, 大学院・比較社会文化研究院, 助手 (90281196)
大野 正夫 九州大学, 大学院・比較社会文化研究院, 助教授 (00251413)
西 弘嗣 九州大学, 大学院・比較社会文化研究院, 助教授 (20192685)
酒井 英男 富山大学, 理学部, 助教授 (30134993)
豊田 和弘 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 助教授 (10207649)
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キーワード | ヒマラヤ / モンスーン / カトマンズ盆地 / 学術ボーリング / 氷期・間氷期 / 湖成堆積物 / 古地磁気 / 逆帯磁 |
研究概要 |
ヒマラヤ山脈の上昇とモンスーン気候変動の記録を明らかにし、両者の相互関係を解明する目的で、中央ヒマラヤに位置するカトマンズ盆地の鮮新世から第四紀の河成・湖成堆積物の学術ボーリングを行い総計310mのコアを採取した。 コアの堆積相の観察に基づき、古カトマンズ湖の堆積物を3つに区分した。 下部は厚さ約75m,河成の砂礫層から成る基底部と湖縁辺相を示す上半部に二分される。上半部は炭質粘土、褐炭およびそれらを基質とする含礫泥から成り、三枚の珪藻土層を挟む。上半部の上部粘土層からは、ヒシの実、巻貝の蓋、脊椎動物の歯の一部、広葉樹の葉が産出した。 中部は厚さ約88m,黒灰色の有機質粘土層を主体とし、12枚の珪藻土層を挟む。中部の中部と最上部には厚さ約4mの珪藻土層が挟まれており、良い鍵層と成る。中部の下半部には厚さ数mm〜10cmの砂層が間欠的に挟まれているが、上半部には全く挟まれない。これは湖が次第に拡大し、深くなったことを示すものと判断される。深度103m以深からは、広葉樹の葉が多数産出した。 上部は厚さ約80m,中部と同様な黒灰色の有機質粘土層から成るが、基底部に厚さ約6mの中粒砂層を挟む。このイベント堆積物の砂層はカトマンズ盆地の地下に広く分布しており、約100万年前の年代を示す。深度10〜17mで湖成層は河川堆積物に覆われており、5000〜6000年前に湖が消滅したものと推定される。 深度30mまでのコアの古地磁気学的研究の結果、地下12.5m付近は逆帯磁しており、4.0〜4.5kyr B.P.のLaschmp excursionに相当するものと推定された。また、帯磁率異方性は静穏な環境下での堆積を示す。
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