研究概要 |
本基盤研究(A)(2)の核となる高圧型岩石変形実験装置は,2000年3月末に,その後,試料加熱用の電流・電圧発生・制御システムが6月末までに広島大学に納入され,実験開始のために必要なすべての装置が整った.7月より装置立ち上げのための予備実験を開始し,現在に至るまで合計12回の予備実験を行った.予備実験の目的と成果は以下の2つにまとめられる. 1.第1の目的は,試料の温度測定のため試料部に装着する熱電対が,高圧発生時に切れない工夫をすることであった.試行錯誤を繰り返した結果,(1)熱電対をステンレス管で保護すること,(2)一様な封圧発生のため,試料部上部に置かれている厚さ5mmの鉛は,加圧時に熱電対部に入り込み,それを引っ張って切ってしまう.そこで,鉛の一部およびすべてをパイロフィライトに置換すること,および(3)熱電対の屈曲部をアルミナの棒で補強することで,1GPaの圧力で熱電対を切らないことに成功した. 2.第2の目的は,試料の加熱効率を上げることであった.これは,(1)厚さ1mmのジルコニア(断熱物質)で試料部を被うこと,および(2)ヒーターとして用いているグラファイトの径を薄くすること(最終的な内径を0.5mmとした)で,1000℃までの効率的な加熱を行なうことに成功した. 以上,本年度の予備実験によって概ね初期の目標が達成され,来年度以降本実験を行なう準備が整った.ただし,現段階では,1GPa以上で,上あるいは下の超硬アンビルが破壊する.したがって,1GPa以上の圧力を発生させるためには,アンビルおよびシリンダーの形状および材質を設計し直す必要がある.
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