研究課題/領域番号 |
11304037
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
竹下 徹 広島大学, 大学院・理学研究科, 教授 (30216882)
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研究分担者 |
金川 久一 千葉大学, 理学部, 助教授 (40185898)
安東 淳一 広島大学, 大学院・理学研究科, 助手 (50291480)
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キーワード | 高温・高圧型変形実験装置 / 予備実験 / 圧力キャリブレーション / 超鋼アンビル / 圧力媒体 / 塩 / 銀 / 融解点 |
研究概要 |
以下に、平成13年度の研究実績を記す。前年度に引き続き、高温・高圧型変形実験装置の立ち上げ(予備実験)を継続した。前年度までの段階で、一応目的とする実験条件(封圧=1GPa、温度=1000℃)を達成することには成功しており、今年度は当初、マイクロピストンを使用した、実際の岩石の変形実験(本実験)に着手する予定であった。しかしながら、今年度、前年度の予備実験では未着手の圧力キャリブレーション(試料セル内の圧力測定)の実験を行なっている過程で、タングステンカーバイド(WC)製超鋼アンビルが、意外にも低圧力下で割れるという事態が生じ、予備実験は難航した。試料セル内に発生している圧力を測定するためには、通常、融解の温度-圧力条件が良くわかっている物質を試料セル内に入れて、その融点から発生圧力を確認する方法を採る。本実験では、銀を圧力計として用いたが、1つの問題が生じた。それは、本実験では、塩(NaCl)を圧力媒体として用いているが、1GPa以下の低圧下では、NaClの融解の方が銀の融解よりも低温下で生じ、試料セル内に対流を生じてしまうため、安定に温度を上昇させることが困難なことである。また、NaClの融解に伴う体積膨張で、超鋼アンビルが破損した場合もあった。一方で、NaClと銀の融解点が逆転する1GPa以上の高圧下では、超鋼アンビルが破損することが判明した。圧力測定の方は、その後、低圧下の実験でも、NaClの融解点を、温度-電力のグラフから読み取ることが出来ることが判明し、今年度の実験でほぼ圧力測定は終了することが出来た。一方、比較的低圧(0.5-1 GPa)下でアンビルが破損する問題は、本実験に入る前に解決しなければいけない問題として残された。現在、超鋼アンビルの材質と形状の改善を行なっている段階である。
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