研究概要 |
hypervalentな5配位炭素の新展開:昨年度rigidな配位子である1,8-ジメトキシアントラセンを用いて,初めて5配位超原子価炭素化合物を合成し,完全なspecificationを行なった.本年度は,立体的によりflexibleなvan Koten型配位子に発展させて,5配位超原子価炭素化学種を安定に単離した.これにより超原子価炭素化学種がより普遍的な存在であることが明らかになった. 5配位ホスホラン化学の展開:Martinリガンドを配位子とするapicophilicity ruleに反するスピロホスホラン(2:O-cis体)を速度論的生成物として得た.2はO-trans体よりも求核反応性が高いことを明らかにし,分子内配位子交換反応の機構に対する考察を行なった.また2の方がαプロトンの酸性が高いことを見出し,2のαアニオンと塩化ベンゾイルの反応では付加に引き続いて転移が進行することを明らかにし,2のσ^*(P-O)軌道の高い求電子性がわかった.また2のαアニオンとベンズアルデヒドの反応において6配位Wittig型反応の中間体の単離にも成功した. 研究をapicophilicity ruleに反するアミノスピロホスホランに発展させ,速度論的研究を展開した.窒素原子の非共有電子電子対からσ^*(P-O)結合への電子の流れ込みが重要であることを明らかにした. 15属元素ポルフィリン錯体の展開:Sb^V-TPP錯体について,Sbの電子状態が軸配位子の影響を強く受けることを^<121>Sbメスバウアー分光法から明らかにした.
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