研究概要 |
配位高分子はゼオライトなどと同様、熱的に安定な細孔構造を構築しえるだけでなく、これらの無機固体に比べて設計性に優れており、新しい多孔性骨格を形成することが可能である。本研究では、この配位高分子骨格の特徴を活かして新しい多孔性配位高分子の設計と構築を進めた。特に、ゼオライトを越える高い気体吸着活性能を有する配位高分子の実現を進めた。4,4'-ビピリジンと銅、及びSiF_6アニオンから構築された配位高分子[Cu(4,4'-bpy)_2(SiF_6)]の合成と構造決定に成功した。単結晶構造解析の結果、この化合物は銅と4,4'-bpyから成る二次元シートをSiF_6アニオンが連結した三次元構造を有しており、約8x8Åのミクロ細孔を有することが明らかとなった。また、非常に高い空隙率を有していることも明らかにされた。常温に於けるメタン吸着活性を検討した所、ゼオライト(5A,13X)をはるかに越える高い吸着活性を有することが見出された。また、細孔分布を測定した結果、この化合物のミクロ細孔は極めて均一に分布していることが分かった。粉末X線解析の結果から、この多孔性骨格は熱的にも安定で、100度真空下でも、その構造を維持し得ることが見出された。つまり、この化合物は気体の貯蔵材料として、非常に高い可能性を秘めていることが示された。これらの研究成果はAnew.Chem.Int.Ed.Engl.に於いて高く評価され、very important paperとして紹介された。
|