キラル結晶の光学活性

2000 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 11304051
• 研究機関: 愛媛大学
• 研究代表者: 小島 秀子 愛媛大学, 工学部, 助教授 (20304644)
• キーワード: 結晶旋光能 / キラル結晶 / 光学活性 / キラル複合結晶 / アキラル分子 / キラリティー / エナンチオマー / ヘリックス

研究概要

結晶旋光能測定装置HAUPの立ち上げとして、光学活性な結晶として昔からよく知られている右と左の水晶を選び、切り出し、鏡面研摩を行って薄片試料を作製し、a軸方向の旋光能測定測定を行った。その結果、一応の満足し得る結果が得られたので、実際の試料の測定に入った。試料は、トリプタミンと種々のアキラルなカルボン酸を組み合わせて創製した、約30種類のヘリックス型キラル結晶の中から、空間群P2_12_12_1に属し、無色で結晶性の良いトリプタミン-4-クロロ安息香酸の結晶を選んだ。良質の数ミリの大きさの単結晶を作り、(100),(010),(001)面の鏡面研摩を行い、200μm程度の厚さの薄片試料を作製した。現在、HAUPを用いて各面の旋光能を測定中である。興味のポイントとしてはへリックス構造と旋光能の大きさとの関連性を考察することである。
昨年夏、IP二次元X線結晶構造解析装置を導入して、結晶解析を速やかに行うことができるようになったので、新しいキラル二分子結晶の創製に関する研究がスピードアップした。その結果、擬似種結晶を用いるエナンチオ制御法を確立した。また、アミノピリジン-ベンゼンスルホン酸系の一連の新しいキラル二分子結晶を見い出した。これら結晶のSHG特性はかなり優れており、非線形光学材料として利用可能であることを明らかにした。

研究成果

• [文献書誌] H.Koshima,S.Honke and M.Miyauchi: "Enantiomorphous Control in Chiral Crystallization of Achiral Molecules by Pseudo-Seeding"Enantiomer. 5. 125-128 (2000)
• [文献書誌] H.Koshima,D.Matsushige,M.Miyauchi,and J.Fujita: "Solid State Photoreaction in Two-Component Molecular Crystals of Thienylacetic Acids and Aza Aromatic Compounds"Tetrahedron. 56. 6845-6852 (2000)
• [文献書誌] H.Koshima: "Generation of Chirality in Two-component Molecular Crystals from Achiral Molecules"Journal of Molecular Structure. 552. 111-116 (2000)
• [文献書誌] H.Koshima,J.Meng,Z.Wen and T.Matsuura: "A Two-Component Molecular Crystal Composed of Phenylurea and Thiourea"Molecular Crystals and Liquid Crystals. 356. 487-486 (2001)
• [文献書誌] H.Koshima,S.Honke and M.Miyauchi: "Preparation of Helical-type Crystals from Tryptamine and Achiral Carboxylic Acids and Their Enantiomorphous Control by Pseudo-seeding"Molecular Crystals and Liquid Crystals. 356. 497-502 (2001)
• [文献書誌] H.Koshima,M.Miyauchi,M.Shiro: "Helicity Control in the Preparation of Chiral Co-crystals from Tryptamine and Achiral Carboxylic Acids by Pseudo-seeding"Supramolecular Chemistry. 13. 137-142 (2001)