研究概要 |
液/液界面および固/液界面におけるキサンテン系色素の会合体形成を第二高調波発生(SHG)分光法により検討した。その結果,液/液界面および固/液界面では色素の会合状態が大きく異なることを見い出した(J.Phys.Chem.B,2000)。すなわち,ヘプタン/水界面では,電子遷移双極子が平行に揃ったin-plane型の会合体のみが形成する。また,水相中の色素濃度の増加に伴い,in-plane型会合体の構成分子数は増加するものの,色素単量体の配向性は界面吸着量によらず一定である。一方,疎水化シリカ/水界面では,界面吸着量の増加に伴い,in-plane型の会合体に加えてサンドウイッチ型ダイマーが形成する。以上のように,SHG分光法を利用することにより,キサンテン系色素の液/液界面および固/液界面における会合体構造の定量的解析に成功した。 また,種々のアルキル鎖長を有するチオ尿素型クロモイオノフォアをジアルキルアンモニウム型のカチオン性ベシクル中に導入し,水素結合性クロモイオノフォアの存在位置の違いに基づく選択的アニオン認識能を見い出した(Chem.Commun.,2000)。すなわち,オクチル基を有するチオ尿素型クロモイオノフォアは認識部位が界面近傍に存在し,特定アニオン種に対する選択的応答は認められない。一方,メチル基を有するクロモイオノフォアはベシクル内部に存在し,高い塩化物イオン選択性が見られた。以上のように,ベシクル内のクロモイオノフォアの存在位置を制御することにより,水素結合性クロモイオノフォアによる高選択的アニオン認識機能の発現を達成した。
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