研究課題/領域番号 |
11304058
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
徳永 史生 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80025452)
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研究分担者 |
佐々木 純 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助手 (70314359)
久富 修 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (60231544)
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キーワード | 網膜 / 視細胞 / 視物質 / 原子間力顕微鏡 / 光信号変換 / 視覚 / 細胞内情報伝達 / 1分子測定 |
研究概要 |
視細胞では光信号を膜電位変化という電気信号に変換している(光電変換)。この20年余りの間にこれに関与する機能性蛋白質が明らかにされてきた。本申請研究ではそれら機能性蛋白質の動きを原子間力顕微鏡を用いて解析し、特にそれらの間の相互作用を直接観察しようとするものである。先ずはそれら分子の分離精製が必要である。これまでの作業で、視物質、トランスデューシンのα、βサブユニット、ホスホジエステラーゼ、グアニル酸シクラーゼ、ロドプシンリン酸化酵素、Sモジュリン、グアニル酸シクラーゼ活性化蛋白質、ホスデューシンのcDNAをクローン化した。次にこれらのタンパク質を大腸菌などで発現させようと試みている。既にSモジュリンは大腸菌で発現に成功している。また、発現したSモジュリンが天然のものと同様な挙動を示すととを確かめている。原子間力顕微鏡による観察方法を確立するため、高度好塩菌が産生する紫膜を材料に用いた。紫膜は分子量2万6千のバクテリオロドプシン(bR)が3量体を成し、それが2次元の6方格子を作っている。原子間力顕微鏡では1μm平方ばかりの比較的滑らかな平面が観察された。次に2次元結晶を作らないセンソリーロドプシン(sR)とbRとの色々なキメラ蛋白質を遺伝子工学的に大腸菌で作った。蛋白質として得られないもの、或いは蛋白質として得られても原子間力顕微鏡で観察すると平面膜としては観察されず、丸まった形になるものがあった。しかしsRとbRとのキメラタンパク質とともにトランスデユーサー蛋白質を共発現させたところ、1μm平方ばかりの平面膜が得られた。この平面膜は紫膜が約6μmの厚さであるのに対し、約10μmであった。X線回折を行ったところ、紫膜のようなきれいな回折像は得られなかった。イモリとザリガニのロドプシンの1部に反応性のあるモノクローン抗体を作成中である。
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