研究分担者 |
谷山 智康 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 助手 (10302960)
末松 久幸 長岡技術科学大学, 極限エネルギー密度工学研究センター, 助教授 (30222045)
山崎 陽太郎 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 教授 (50124706)
本橋 輝樹 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 助手 (00323840)
KARPPINEN Maarit 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 助教授 (50334529)
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研究概要 |
本研究では、ダブルペロブスカイト型構造を持つ遷移金属酸化物(DP:一般式A'A"'B'B"O_<6-w>において"新しい機能"を創出することを目指し、Fe, Coを含む3種の酸化物について酸素量を含む化学組成と原子価状態、さらにそれらと物性の相関関係を調べた。 以下に主な成果を示す。 1.Aサイトオーダー(酸素欠損型)DP鉄酸化物:BaREFe_2O_<5+δ> (1)BaSmFe_2O_<5+δ>合成のための「酸素ゲッター同時封管法」を開発した。これにより、様々なRE種の酸化物で広範囲の酸素含有量をもつ試料の作製に成功。 (2)BaSmFe_2O_<5+δ>(δ<0.5)におけるFe原子価に関する相転移"Verwey型転移"を発見。転移温度T_v以上で混合原子価(価数ゆらぎ)状態Fe^<II/III>がT_v以下でFe^<II>/Fe^<III>に分裂することを^<57>Feメスバウアー分光により発見。 (3)BaサイトへのSr置換、及びSmサイトへのCaや他の希土類元素(RE)による置換(化学的圧力)を用いたTvの幅広い制御に成功。これら試料の放射光X線回折を用いた構造解析の結果、RE面を挟むFe-Fe距離がTv値を支配していることを見出した。 (4)RE=Dy, Y試料において、電荷整列に起因すると考えられる超格子反射を放射光X線回折と電子回折により観測。 2.Bサイトオーダー型DP : Sr_2FeMoO_<6-w>(SFMO) (1)高品質試料作製のための「酸素ゲッター同時封管法」の確立。 (2)SFMOが混合原子価状態Fe^<11/111>を発現することを発見し、本物質のハーフメタル電子状態の理解に貢献。 (3)SFMOにおいて、試料焼成条件とBサイトでのFe/Mo長距離秩序度の関係と電磁気特性への影響を解明。 (4)SrサイトヘのBa, Ca置換、MoサイトヘのTa, W置換により本物質の電磁気特性・MR特性の制御に成功。Ta置換試料において、5Kで200%と高いMR値を得ることに成功。 3.Aサイトオーダー(酸素欠損型)DPCo酸化物:BaRECo_2O_<5+δ> RE=Nd, Eu, Ho, Yの試料を作製し酸素量の精密制御を行った。本物質における結晶構造・磁気特性・MR特性に対する酸素不定比性の効果を解明し、本物質における巨大MR効果発現のための指針を構築した。RE=Ndの場合で、δ=^^〜0.46付近において、200K以上の温度では、トンネル型MR特性が観測された:ハーフメタル状態発現の可能性を示唆。 以上1999-2003年に遂行した研究の成果を総括した。本研究により、ダブルペロブスカイトにおける(i)Verwey型転移などの新規機能の創出、(ii)遷移金属の価数状態とVerwey型転移、電荷整列、ハーフメタル状態などの物性との相関の解明、及び(iii)ハーフメタルなどの機能性材料における物性制御法確立のための指針を得た。
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