SOI(silicon on insulator)基板を用いてミクロンから100nm大の深針を有する振動子の作製が可能となった。いままではキノコ型の、弾性支持部が振動子の中央に配置されたものを作製していたが、今年度、探針の片側を板状の弾性部で支持した形態のものが作製可能となった。弾性支持部となる頸部のエッチングを1nm/s程度の速度で制御可能であることを実際に示した。その結果、厚さや直径にして10nm程度のものを安定に作製するための指針を得た。 走査型電子顕微鏡内で作動する、走査型力顕微鏡を作製し、振動子の弾性を確認した。その結果、酸化シリコンからなる頸部がしなやかに変形し、ものと姿勢に戻ることが確認された。この結果から、得られた振動子が実用的な強度を有し、直径10nmの頸部の場合、計算上50nNの力に耐えることが明らかにされた。 現在、ミクロン大のものに関して、回折限界まで絞ったレーザ光をもちいて、光てこ、もしくは散乱による振動子の振動検出を進めている。 作成されたナノ振動子の計算による諸定数は、0.1N/m〜100N/mのバネ定数、1MHzから1GHzの固有振動数であった。
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