研究概要 |
ラジカルの単色化に必要なプラズマ源の構築とラジカル計測技術の確立を行い,当初の目的をほぼ達成した。得られた成果を下記に示す。 1.プラズマ中の電子温度を制御するために,電子ビーム励起プラズマ源の改良を行い,加速電圧と電流の選定により,電子温度が制御できるプラズマシステムの構築を行った。 2.フルオロカーボン系ラジカルの空間的分布の計測を確立するために,赤外半導体レーザー吸収分光法およびレーザー誘起蛍光法を組み合わせた新しいシステムを構築し,反応容器内のラジカル密度およびラジカル温度の空間分布をはじめて明らかにした。 ラジカル分布が反応容器壁付近において高くなるという興味深い現象を見出し,ラジカルの壁表面相互作用についても有用な知見を得ることに成功した。 3.真空紫外吸収分光法による水素および窒素プラズマ中の水素および窒素原子状ラジカルの絶対密度の計測を行い,プラズマの電子密度および電子温度の変化に対するこれらのラジカル密度の挙動を解明した。ダイヤモンド生成に必要なCO/H_2プラズマ中の炭素原子密度の計測を行い,炭素ラジカルの反応速度等に関する知見を得た。 4.窒素ガスを用いた電子ビーム励起プラズマにおいて,電子温度を変化させながら窒素原子密度を真空紫外吸収分光法によって計測した。その結果,窒素分子の解離断面積に対応した窒素原子密度の絶対密度を評価することに成功した。また,10^<-5>Torrの極低圧領域において,窒素分子を10%程度という高解離率にて分解できることを見出した。 これらの成果を基にして,今後は,種々の反応性ガスを系統的に選択し,電子温度を制御しながら生成されるラジカル種とその密度を明らかにしていく。
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