研究概要 |
プラズマ中のラジカルの単色化のために、種々のガスとプラズマ源(電子温度)とを組み合わせて、ラジカル密度の計測を行い、下記の成果を得た。 1.電子ビーム励起プラズマ中において、電子のエネルギーを変化させながらNラジカル密度の挙動を系統的に明らかにした。窒素ガスの解離断面積に従って、ラジカル密度が変化し、電子エネルギー制御によりラジカルの組成を制御できる可能性を見出した。 2.フルオロカーボンラジカルの組成と密度を精密計測可能なプラズマ反応容器において、CF,CF2,CF3ラジカルの挙動を明らかにした。これらのラジカル密度の空間分布を解析した結果、ラジカルの生成と消滅に影響を与えている要因を解明した。これらの知見は、ラジカルの単色化を実現する上で極めて重要な情報である。 3.ダイヤモンド形成プラズマにおいて、ガス組成(CO,H2,CH4)を変化させたときのC,H,CH3密度を系統的に明らかにした。COガスおよびCH4ガスの注入によって、各々CおよびCH3ラジカルが制御できることが判明した。CO,H2,CH4ガスの組み合わせによって、微結晶ダイヤモンド形成に必要なラジカル組成比を明らかにし、微結晶ダイヤモンド形成の圧力下限界を見出した。 4.シラン系ガスプラズマにおいて、高電子温度と低電子温度条件下においてラジカルの組成と薄膜物性の関係を調べた。その結果、500Mz帯UHFプラズマにおいて、0.5eVの低電子温度を実現し、該プラズマのパルス変調によって、H/Si原子比が精密に制御できることを見出した。パルス変調によって、シラン系のラジカルの高精度制御が可能であることを明らかにした。 さらに、これらのラジカル比の制御によって、微結晶Si薄膜の結晶配向性を制御できるこを発見した。
|