研究分担者 |
三浦 登 明治大学, 理工学部, 講師 (10257131)
立川 真樹 明治大学, 理工学部, 助教授 (60201612)
崔 博坤 明治大学, 理工学部, 教授 (30143530)
庄司 一郎 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 博士研究員
近藤 高志 東京大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (60205557)
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研究概要 |
ストイキオメトリック(化学量論)組成およびコングルエント(一致溶融)組成を有するLiNbO_3の2次非線形光学定数を基本波波長1.305μmにおいて絶対測定により決定した. LiNbO_3は大きな非線形半学定数をもつ材料で,非線形光学素子,圧電素子,表面超音波素子などに広く使われている強誘電体結晶である.高品質の結晶が得られることから非線形光学定数の標準物質としてもしばしば用いられる.ところでこれまで使われてきたLiNbO_3結晶はすべてコングルエント組成のものであった.ストイキオメトリック組成の結晶成長がきわめて困難だったためである.コングルエントLiNbO_3はLiとNbの割合が48.4%と51.6%で,LiのサイトにNbのアンチサイトと空格子点からなる格子欠陥が5%程度存在している.最近,物質工学工業技術研究所(経済産業省産業技術総合研究所)のグループがストイキオメトリックLiNbO_3の結晶成長に成功し,その物性(電気光学係数,キュリー温度など)がコングルエントLiNbO_3のそれとかなり異なっていると言うことがわかってきた. われわれは物質研から提供されたコングルエントLiNbO_3とストイキオメトリックLiNbO_3につき,半導体レーザを用いたウェッジ法により基本波波長1.305μmで2次非線形光学定数の絶対測定をおこなった.結果は以下のとおりである. d_<33>(congrument LiNbO_3;1.305μm)=19.6pm/V,d_<33>(stoichiometric LiNbO_3;1.305μm)=24.0pm/V このように非線形光学定数が強誘電体の組成に大きな影響をおよぼすことが見いだされたのははじめてのことである.また,ストイキオメトリックLiNbO_3の2次非線形光学定数がコングルエントLiNbO_3のそれより20%も大きいのでデバイス応用にはストイキオメトリックLiNbO_3の方が適していることが明らかになった.
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