研究概要 |
本研究課題では,フルイドパワーシステムのマイクロ化,集積化を実現し,多自由度マイクロ運動システムのためのマイクロフルイドパワー集積デバイスを構築することを目的としている.本年度は主に,半導体プロセスを用いた平面形マイクロERバルブおよび共振駆動形マイクロポンプを搭載した管内走行マイクロマシンの試作をおこなった.また,薄形ぜん動マイクロポンプを試作しその特性を評価した.実施結果の具体的内容は以下のとおりである. パワーを要する作業をおこなうマイクロマシンとして,均一系ER流体を作動流体とし印加電界で容易に圧力制御可能なマイクロERバルブおよび,直径9mmのポンプを搭載した管内走行マイクロマシンの実現を図った.まず,半導体プロセスにより3ポートマイクロERバルブを試作し,数種類の均一系ER流体に対し特性実験をおこない,マイクロマシンに適した作動流体を選定した.つぎに,共振駆動形圧電マイクロポンプの高出力化のため逆止弁の改良などを試み,実験的にその有効性を確認した.最後に,これらを搭載した管内走行マイクロマシンを試作した. また,新しい駆動原理のバイモルフ形PZT素子アレイによるぜん動運動を用いた薄形マイクロポンプの提案および試作をした.ぜん動運動によるポンピングにより,従来のマイクロポンプにおけるキャビテーションやデッドボリュームなどの問題点を解決されると期待できる.試作したマイクロポンプは,両面駆動形および片面駆動形に大きく分けられる.大きさは20×20×1mm^3である.本研究では,まず,各駆動形の無負荷流量特性について,実験的に検討し,片面駆動形が両面駆動形に比べ,高流量が得られることを明らかにした.さらに,負荷特性およびPZT駆動パターンの工夫によるポンプ性能の向上についても検討し,最大吐出流量として250mm^3/min,最大負荷圧力として3.1kPaを得た.
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