研究概要 |
本研究課題では,フルイドパワーシステムのマイクロ化,集積化を実現し,多自由度マイクロ運動システムのためのマイクロフルイドパワー集積デバイスを構築することを目的としている.本年度は主に,マイクロマシンヘの実装を目的に,マイクロ流体アクチュエータにバルブを集積化し小形化を図ったバルブ集積形マイクロアクチュエータを提案試作しその特性を評価した.実施結果の具体的内容は以下のとおりである. まず,集積するマイクロERバルブの高性能化および小形化について検討している.マイクロERバルブは,印加電界により粘度を制御できる均一系ER(Electro-Rheological)流体の性質を利用して,固定電極からなるシンプルな構造で流体制御をおこなう.バルブの高性能化を目的に,作動流体となる均一系ER流体の選定をおこなっている.選定は半導体プロセスにより試作したマイクロERバルブの静特性,および動特性実験に基づいている.また,流路形状がバルブ性能に与える影響を実験により明らかにしている. つぎに,薄膜により圧力を変位に変換するダイアフラム式のポリイミド薄膜形マイクロ流体アクチュエータの提案,試作をおこなっている.薄膜の寸法などがアクチュエータの出力変位特性に与える影響を把握するため,試作アクチュエータの特性実験をおこなっている.その結果,薄膜の初期たわみの有無,および薄膜の大きさが出力変位-圧力特性に与える影響を実験的に明らかにしている. 最後に,上記のバルブとアクチュエータを集積化したパルプ集積形マイクロアクチュエータの試作および特性実験をおこなっている.寸法は8x10x1.4mm^3である.実験結果から,制御できる圧力幅が60kPa,出力変位が40μmであることを確認している.また,バルブ集積形マイクロアクチュエータの応用として,実際の管内作業を想定したマイクログリッパの駆動を試みている.
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