III-V族ベース強磁性半導体によるバンドエンジニアリングと磁気光学デバイスへの応用

1999 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 11305023
• 研究種目: 基盤研究(A)
• 研究機関: 東京大学
• 研究代表者: 田中 雅明 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (30192636)
• 研究分担者: 成塚 重弥 東京大学, 大学院・工学系研究科, 講師 (80282680) ; 中野 義昭 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (50183885) ; 西永 頌 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (10023128)
• キーワード: III-V族ベース強磁性半導体 / (GaMn)As / (InGaMn)As / 半導体磁気光学結晶 / 磁気光学効果 / 光の局在 / s,p-d交換相互作用

研究概要

平成11年度はIII-V族ベース強磁性半導体およびその混晶やヘテロ構造・超格子のエピタキシャル成長、およびその物性機能の解明と制御に重点を置き、以下の研究成果を得た。
(1)(GaMn)As強磁性半導体の物性制御:GaAsなど2元系の化合物半導体に磁性イオン(Mn)を混入させた(GaMn)Asについてのエピタキシャル成長と物性制御(特に光学的性質と磁気光学効果)について詳細に調べた。デバイス応用上も重要なパラメータであるs,p-d交換相互作用の大きさ、符合を評価した。
(2)(GaInMn)As4元混晶強磁性半導体の形成と物性制御:(GaInMn)As4元強磁性混晶半導体のエピタキシャル成長技術を確立し、III-V続強磁性半導体の格子定数などの構造パラメータと禁制帯幅などを広範囲に変えることに成功した。
(3)(GaMn)As/AlAs,(InGaMn)As/AlGaAsなど超格子・ヘテロ構造の形成と物性制御:III-V族化合物半導体の大きな特色は、超格子・ヘテロ構造によって材料設計を自在に行えることである。本年度は、(GaMn)As/AlAs,(InGaMn)As/AlGaAsなど超格子・ヘテロ構造のエピタキシャル成長技術を確立し、強磁性半導体2次元正孔系の量子効果、磁気光学効果を明らかにした。
(4)強磁性半導体混晶・ヘテロ構造を用いた半導体磁気光学結晶の設計:上記III-V族強磁性半導体混晶・ヘテロ構造を用いて、半導体多層反射膜(DBR)構造を用いた一次元半導体磁気光学結晶を設計・試作し、光を磁性層に局在させることによって磁気光学効果が飛躍的に増大することを示した。これにより、半導体ベースの磁気光学結晶によるデバイス設計への道を開いた。

研究成果

• [文献書誌] M. Tanaka: "Ferromagnet/Semiconductor Hybrid Structures Grown by Molecular Beam Epitaxy"J. Crystal Growth. 201/202,. 660-669 (1999)
• [文献書誌] T. Hayashi, H. Shimada, H. Shimizu, and M. Tanaka: "Tunneling Spectroscopy and Magnetoresistance in (GaMn) As/Al/As/(GaMn)As Ultrathin Magnetic Semiconductor Heterostructures"J. Crystal Growth. 201/202,. 689-692 (1999)
• [文献書誌] M.Tanaka: "Ferromagnetic Semiconductor Heterostructures Based on (GaMn)As"J. Vac. Sci. & Technol,. in press. (2000)
• [文献書誌] H. Shimizu, M. Miyamura, and M. Tanaka: "Enhanced Magneto-Optical Effect of GaAs:MnAs Magnetic Nanoclusters with GaAs/AlAs Distributed Bragg Reflectors : A Semiconductor Based Magneto-Photonic Crystal"5th Symp. on the Physics and Application of Spin-Related Phenomena in Semiconductors, Sendai, paper C2,. 68-71 (1999)
• [文献書誌] H. Shimizu, T. Hayashi, M. Tanaka, and K. Ando: "Magneto-Optical Spectra of Ferromagnetic Semiconductor GaMnAs"5th Symp. on the Physics and Application of Spin-Related Phenomena in Semiconductors, Sendai, paper H14,. 192-195 (1999)
• [文献書誌] J. Szczytko, A. Twardowski, K. Swiatek, M. Palczewska, T. Hayashi, M. Tanaka, and K. Ando: "Mn Impurity in (GaMn)As Epilayers"Phys. Rev.. B60. 8304-8309 (1999)