研究課題/領域番号 |
11305024
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
電子・電気材料工学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
柴田 直 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (00187402)
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研究分担者 |
三田 吉郎 東京大学, 大学院・工学系研究科, 講師 (40323472)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2001
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キーワード | VLSI / 連想プロセッサ / 画像認識 / 医用X線写真診断 / 脳型コンピュータ / 心理学的モデル / アナログVLSI / 強誘電体メモリ |
研究概要 |
デジタルコンピュータ技術は驚くべき進歩を遂げたが、ヒトのようにものを見て柔軟に判断し即座に適切な行動をとるといった処理は、まだほとんど不可能である。本研究は、研究代表者が提唱する"心理学的脳モデル"を具現化することにより、これを可能にする"しなやかな情報処理電子システム"実現を目指したもので、特に視覚処理・認知処理に特化したVLSIシステムの研究を行った。医用X線写真の診断を例題に認識アルゴリズムの研究を行い、大学病院で10年の経験を積んだ専門医と同等の認識結果が得られることを実証した。また専用のVLSIチップの開発により、ワークステーションを用いたソフトウェア処理では24時間もかかるX線写真の診断が、ほんの数秒で実行できることも示した。これ等の成果により、今後VLSIチップ上に脳型コンピュータを実現する基礎の第一歩を築くことが出来た。 脳の認識過程には、脳内に蓄えられた過去の膨大な記憶のなかから最も似通った事例を瞬時に想起するといったプロセスが、必ずやその基本に存在する。先ずこの似たもの探しに特化したVLSI連想プロセッサチップを開発した。従来の電子注入にかわり、強誘電体の分極を利用した全く新しい素子構成で大量の過去の記憶を保持/想起できるアナログ不揮発性連想メモリ回路も開発した。また、関数形可変CMOSバンプ回路、NMOSガウス型回路を新たに考案し、超低消費電力のアナログ連想プロセッサを実現した。 本研究最大の成果は、これ等の連想プロセッサを用いて柔軟な画像認識を実行するための画像のベクトル化アルゴリズム、PPED法の開発に成功したことである。画像の最も基本的な要素(「ピクレット」と名付けた)を専用VLSIで抽出、主要な方向に投影して画像を表現するアルゴリズムで、ヒトの目によく似たものと写る画像は、ベクトル空間上でも近接してマッピングされる大変強力な手法である。また、全く同じアルゴリズムが様々な問題にそのまま適用できる。これによって手書の文字認識から高度な医用X線写真の診断、さらにズームレンズ比喩問題にも対応できる柔軟な画像認識が可能になった。
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