研究概要 |
本研究では,超小型高機能三次元光集積回路の基本技術の開発を目的として,(a)光機能デバイス自身の小型集積化を目指した三次元集積化光機能デバイスの設計・製作技術と,(b)光機能デバイス間を自在に配線する立体光配線技術,の2つの重点的開発を目指している. 本年度は,(a)については,報告者らが一昨年度に開発した積層型マイクロリング共振器フィルタの透過帯域平坦化技術と従属接続によるフィルタ特性合成技術の開発を目指した.この波長フィルタは,従来のリング半径の大きなリング共振器では共振波長間隔(FSR)が1nm以下で波長多重通信用には適さなかった問題を,リング半径を数十μmまで超小型化することによって20nm程度にまで拡大し,さらにバスラインを網目状にしたクロスグリッド配置による高密度集積化を可能にした狭帯域Add/Drop波長フィルタである.しかしながら,単一共振器ではフィルタ特性がローレンツ形関数であるので透過帯域が平坦ではなく,また多チャンネル化時にフォトマスクの製作制度の限界(0.05μm)からチャネル間隔が5.7nmに制限されていた.そこで,リング共振器を2個積層化した結合2重共振器を提案してその設計・製作技術を開発し,素子を試作した結果,-10dB帯域幅に対する-1dB透過帯域幅の比を従来よりも約3倍に拡大して平坦化を実証した.また,マイクロリング共振器の網目配置を有効に利用した2個の共振器の従属接続によっても,透過帯域が平坦化されることを実証した. また(b)については,テーパー構造を使わない積層光結合器において,製作許容誤差が大きく結合長か短い擬強結合構造を提案して,結合器長約800μmで結合効率99%を実証した.
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