研究概要 |
本研究では,超小型高機能三次元光集積回路の基本技術の開発を目的として,(a)光機能デバイス自身の小型集積化を目指した三次元集積化光機能デバイスの設計・製作技術と,(b)光機能デバイス間を自在に配線する立体光配線技術,の2つの重点的開発を目指している. 2年度目にあたる本年度は,(a)については,報告者らが開発した積層型マイクロリング共振器フィルタの透過帯域平坦化技術と高次直列結合によるフィルタ特性合成技術の開発を目指した.この波長フィルタは,リング半径を数十μmまで超小型化したマイクロリング共振器を網目状に構成したバスライン導波路の交点上に積層配置することによって高密度集積化を可能にした狭帯域Add/Drop波長フィルタである.しかしながら,単一共振器ではフィルタ特性がローレンツ形関数であるので透過帯域が平坦ではなく,またリング半径の制限から共振波長間隔(FSR)は20nmが限界であった.そこで,リング共振器を3個積層化した3次直列結合共振器を提案してその設計・製作技術を開発し,素子を試作した結果,FSRを26nmに拡大し,また-10dB帯域幅に対する-1dB透過帯域幅の比を従来よりも約3倍(0.57)に拡大して透過帯域特性の平坦化を実証した.さらに,バスライン導波路のスポットサイズが入出力ファイバのそれに比べて約10分の1と小さいため,入出力損失が30dBと大きかったが,バスライン導波路にスポットサイズ変換器を導入して入出力損失を8dBまで低減した. また(b)については,すでに昨年度に,製作許容誤差が大きく結合長が短い積層光結合器を開発し,結合器長約800mmで結合効率99%を実証した.
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