研究課題/領域番号 |
11305044
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山本 良一 東京大学, 国際・産学共同研究センター, 教授 (10107550)
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研究分担者 |
弓野 健太郎 東京大学, 生産技術研究所, 助手 (40251467)
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キーワード | 電界イオン顕微鏡 / 走査型トンネル顕微鏡 / 結晶成長 / 表面拡散 / 解離 / 核生成 / クラスター / 拡散係数 |
研究概要 |
二針型複合FIM・STM装置(FIM:電解イオン顕微鏡、STM:走査型トンネル顕微鏡)に関しては、試料の急速加熱、冷却を実現するための試料ホルダーと温度コントローラの作製を行っている。試料ホルダーはヘアピン状に変形したタングステン線であり、先端に試料を固定する。ホルダーの支持部は液体ヘリウムで冷却されたクライオスタットに接続されており、タングステン線を通電加熱することによる試料の加熱を行う。温度の測定は、四端子法によりタングステン線の先端の抵抗を測ることで行う。これと平行して、結晶成長に対する、原子、クラスターの表面拡散、解離等の影響に関する理論的な考察を行った。すでにわれわれはFIMにより、Pt(111)上の表面拡散係数や解離エネルギーの測定を行っている。核生成の理論に対して、これらのパラメータを適用することにより、安定核の面密度に対するクラスターの表面拡散、解離の影響を定量的に調べた。その結果、ダイマー(Pt2)、トライマー(Pt3)、テトラマー(Pt4)の解離はそれぞれ200K、260K、395Kから安定核の面密度を減少させ始めることがわかった。これは解離により核生成の頻度が減少するためである。この効果は非常に大きく、例えば500Kでは、解離を無視すると二桁ほど大きな安定核の面密度が予想される。一方、クラスターの表面拡散は原理的には安定核を減少させることが可能である。これは拡散によりクラスターが安定核に吸収されることにより、安定核の減少をもたらすからである。しかし、実際に計算を行ってみると、拡散と解離の開始温度が近いために、拡散が核の面密度に影響するような温度のおいては、クラスターは安定に存在することができず、結果として拡散は安定核の面密度に対してほとんど影響を及ぼさないことが明らかとなった。また、第一層目のアイランドの上の第二層目の核生成の頻度に対しても、クラスターの解離が非常に大きく影響することがわかった。
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