研究課題/領域番号 |
11305048
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
花田 修治 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (10005960)
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研究分担者 |
吉見 享祐 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (80230803)
正橋 直哉 東北大学, 金属材料研究所, 助教授 (20312639)
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キーワード | 水素吸蔵合金 / Titanium Manganese alloy / 水素 / 水素吸収特性 / サイクル特性 / 組織制御 / X ray diffraction / SEM-EDS |
研究概要 |
水素吸蔵特性に及ぼすTiMn_2ラーベス相基合金の組織学的因子を系統的に調べるために、本年度は、初期の組織および結晶構造を明らかにしたTiMn_2相基二元合金を用いて、水素吸蔵特性およびくり返し水素吸蔵特性を詳細に調査した。特に、優れたサイクル特性を示すような合金設計の指針を得るために、TiMn_2相の組成依存性に着目した。得られた成果は以下の通りである。 1.Mn組成が56〜67at.%になるTi-Mn合金は溶製材の状態でTiMn_2ラーベス相とTiMn_2相の二相となる。1323K、72hの熱処理後もTiMn2相の体積分率は増加するものの二相のままである。 2.溶製材のままではTiMn_2相の組成に大きなばらつきがある。熱処理によりTiMn_2相の組成は均一化する。 3.熱処理材では合金のMn組成が56〜59at.%の範囲ではTiMn_2相の組成はTi-60at.%Mnとなる。合金のMn組成が60〜67at.%の範囲ではMn量の増加にともないTiMn_2相のMn組成も増加する。一方、TiMn相のMn組成は48at.%と一定である。 4.溶製材では56〜62at.%、熱処理材では56〜61at.%の低Mn組成範囲の合金では水素吸収がみとめられる。高Mn組成範囲では水素吸収及び粉末化はみとめられない。 5.熱処理材は溶製材と比較して水素平衡圧の平坦性が向上する。 6.熱処理材のTi-59at.%Mn合金で極大の水素吸収量を示す。Mn組成が60at.%のTiMn_2ラーベス相で最良の水素吸蔵特性を示し、Mn組成の増加にともない水素吸蔵特性は劣化する。TiMn_2ラーベス相基合金の水素吸蔵特性はTiMn_2相の組成と体積分率に依存する。 7.くり返し水素吸蔵特性もTiMn_2相の組成に依存する。Mn組成が60at.%のTiMn_2ラーベス相で最良のくり返し水素吸蔵特性を示しTiMn_2相のMn組成が増加するにともないくり返し水素吸蔵特性は劣化する。 8.くり返し水素処理により格子膨脹、不均一ひずみ、Ti水素化合物形成などが起こらない合金において良好なくり返し水素吸蔵特性を示す。 9.TiMn_2ラーベス相基水素吸蔵合金で良好な水素吸蔵特性およびくり返し水素吸蔵特性を得るためには、TiMn_2相のMn組成が60at.%であること、TiMn_2相の体積分率が大きいことが要件となる。TiMn_2ラーベス相基水素吸蔵合金で長寿命化を図る際には、組成および組成制御が有効である。
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