研究課題/領域番号 |
11305049
|
研究種目 |
基盤研究(A)
|
研究機関 | 長岡技術科学大学 |
研究代表者 |
小島 陽 長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (60016368)
|
研究分担者 |
鎌土 重晴 長岡技術科学大学, 工学部, 助教授 (30152846)
伊藤 吾朗 長岡技術科学大学, 工学部, 助教授 (80158758)
福澤 康 長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (10126477)
|
キーワード | マグネシウム合金 / 結晶粒微細化 / ECAE加工 / 焼なまし軟化特性 / 再結晶 / 引張特性 / 成形性 / ミクロ組織 |
研究概要 |
近年、携帯用電子機器のケース類にマグネシウム合金が多用されつつあるが、実際に製品を製造する場合、マグネシウム合金は室温での塑性加工性に劣ることから主にダイカストやチキソモールディング等の鋳造が用いられている。しかしながら、歩留まりや後加工等の問題が生じ、必ずしも経済的、かつ環境に優しい製造方法とは言えない。マグネシウム合金が広い用途で使用されるためには、マグネシウム合金の塑陛加工性を向上させ、プレス成形などで容易に加工が出来るようにする必要がある。そこで、本研究ではAlあるいはZnを3mass%含むマグネシウム合金を供試材として、大量の塑性ひずみを一度に導入可能なECAE法を適用し、その後の焼なましによる再結晶を利用し、結晶粒の微細化および内部ひずみを除去するための最適焼なまし条件を求めることを目的とした。 一回のECAE加工でも供試材はほぼ確実に結晶粒が微細化し、そのミクロ組織はECAE加工の押出し方向に対し30°方向に結晶粒が引伸される。また、結晶粒内には双晶も発生し、また、主に小さな結晶粒が変形に寄与しているものと考えられる。1回ECAE加工材では300℃-1hの等時焼なましにより双晶は消失し、一部に再結晶粒が認められるようになり、400℃-1hの等時焼なましでは再結晶が完全に終了し、結晶粒が粗大化する。一方、4回の繰返しECAE加工を施した試料では蓄積されるひずみ量が多くなるため、再結晶の終了温度が低くなるとともに結晶粒径は10μm以下となる。以上のような組織変化、特に結晶粒の微細化により、各合金とも著しく伸びが向上し、引張強さにはそれほどの変化もなく、0.2%耐力は低下する。すなわち、加工硬化指数(n値)が大きくなることを意味する。4回ECAE加工材の焼なまし材の伸びは40%に達するものもあり、n値の増大とともに、これらの結果は成形性の向上を示唆している。
|