研究概要 |
1.現有装置による生膜条件探索と膜質評価 (1)ダイヤモンド膜合成用の溶液探索:既知の水ーエチレングリコール以外の水ーアルコール系を探索した。メタノール,エタノール,1-プロパノール,2-プロパノール,グリセリン系につき30分間の析出実験を行った。メタノール40〜90モルパーセント,エタノール5〜20モルパーセントの範囲で10ミクロン程度の自由面のはっきりした粒子からなる良質なダイヤモンド合成が確認された。プロパノール,グリセリンでは析出不可であった。 (2)酸化物膜合成:等モルの塩化物イオン水溶液によりチタン酸バリウム合成を試みたがチタンとバリウムの析出組成比の制御に難があった。単体に関しては、塩化チタン溶液を使用した酸化チタン合成では緻密なルチル構造ができた。単体酸化物合成には液面上プラズマ法は有望であることが判明した。 2.プラズマジェット方式装置試作と基礎データ収集 (1)プラズマジェット方式装置の試作:反応容器を冷却銅板によって2室に区切り,銅板の中央に銅のノズルを設置した装置を試作した。下室ではノズル下端と液面間にプラズマを発生させこれをノズルを通して上室に導き基板に当てるものである。ノズル・液面距離,ノズル・基盤距離,ノズル形状と種々の試行を行っている。 (2)基礎データの収集:これまでのうち最も良好な結果を示したものは,ノズル内径2mm,ノズル長4mmのものである。発生したプラズマで下室の圧力が高まり青白いプラズマジェットが上室に噴出した。基板への析出は円心状であり、ジェットの中心部には析出物はないが周辺部に良質なダイヤモンド膜,更にその外側には秩序にかける黒鉛膜の析出が認められた。両者の生膜速度は共に1時間あたり10ミクロン余りと速い。
|