研究概要 |
熱的・機械的性質に優れたアルミノケイ酸塩系ガラスのヤング率,剛性率およびビッカース硬度と組成の関係を調査し,その組成からこれらの物性値を予測するための組成-物性推定式を提案した. 真空紫外透過能に優れたガラス材料の開発を目的として,フッ化アルミニウム系ガラスのガラス形成組成領域,熱的安定性,および真空紫外透過特性に及ぼすフッ化ベリリウム添加効果について調査した.フッ化アルミニウム系にフッ化ベリリウムを添加することにより,基本的にはガラスの熱的安定性が向上し,吸収端波長が短波長側ヘシフトし,157nmにおける透過率が増大した.しかし,フッ化ベリリウムの添加量の増加に伴い,耐水性の劣化およびガラス中の不純物増加による真空紫外透過特性の低下が問題となった.従って,次のステップとしてこのガラスの高純度化が重要であると結論した. ケイ酸塩,ホウ酸塩,リン酸塩系ガラスにおけるEr^<3+>イオンの広域X線吸収微細構造(EXAFS)を測定し,その局所構造を解析した.ケイ酸塩系ガラス中のEr^<3+>イオンは,非架橋酸素イオンサイトに配位していた.ホウ酸塩系ガラス中でのET^<3+>イオンは非架橋酸素イオンが存在しない組成域では,負電荷をもつ四配位ホウ素に配位し,非架橋酸素イオンが生成する組成域では,ケイ酸塩系ガラスと同様に非架橋酸素イオンサイトに配位した.リン酸塩系ガラス中のEr^<3+>イオンの局所構造は組成とは無関係で,リン酸特有のP=O二重結合を切断して配位することが明らかとなった.さらに,酸化物ガラス中でのET^<3+>イオンの^4I_<13/2>→^4I_<15/2>遷移におけるA係数と局所構造の関係を考察した.このA係数がEr-O結合距離2.32Å付近で最大値を示すことを見出した.これはEr-O結合の共有結合性が最適となる2.3Åに一致しており,このことから,Er-O結合の共有結合性が最大となる結合距離2.32Å付近でA係数が最も高い値を示したと結論した.
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