研究課題/領域番号 |
11305059
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
今中 忠行 京都大学, 工学研究科, 教授 (30029219)
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研究分担者 |
江崎 聡 京都大学, 工学研究科, 助手 (20291429)
跡見 晴幸 京都大学, 工学研究科, 助教授 (90243047)
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キーワード | Rubisco / 炭酸固定 / 始原菌 / アーキア / カルビン回路 |
研究概要 |
超好熱始原菌Thermococcus kodakaraensis KOD1株のゲノム上に、植物や藻類のCalvin回路の鍵酵素(炭酸固定酵素)であるRibulose 1,5-bisphosphate carboxylase/oxygenase(Rubisco)の遺伝子と低いながらも相同性を有する遺伝子の存在が明らかとなった。Tk-Rubiscoは高いRubisco活性を有し、至適温度の90℃で19.8μmol CO_2fixed・mg^<-1>・min^<-1>の活性を示した。また、carboxylase/oxygenaseの活性比を示すτ値も90℃で310という既報中最高の値を示し、極めてcarboxylase特異的な酵素であることも判明した。また、Tk-Rubisco遺伝子はKOD1株内で転写されており、翻訳産物も確認できた。さらにKOD1株内に存在するTk-Rubiscoのsubunit assemblyを解析したところ、Tk-RubiscoがLarge subunitのみから構成され、Small subunitが存在しないことが判った。また透過型電子顕微鏡を用いて、直接Tk-Rubiscoのホロ酵素を観察した結果、Tk-Rubiscoが五角形構造をとっていることが明らかとなった。さらに、組換え型Tk-Rubiscoの結晶化もなされ、X線解析の結果、本酵素の立体構造が明らかとなった。 以上の研究成果より、超好熱始原菌由来Rubiscoは1次構造、4次構造ともに既存のRubiscoと全く異なっていたことから、新規なType III Rubiscoとして世界で認められ、天然界に2種類のRubiscoしか存在しない従来の定説を覆した。
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