1 まず第一に超流動衝撃波管装置が所望の性能を有し、広範な応用に対して安全に機能することが確認された。 2 超流動ヘリウム中に誘起される圧縮衝撃波についての定量的な考察では、本装置で得られた衝撃波マッハ数は1.01〜1.15程度であるが、液体中の衝撃波としては水等の場合に比べて相当に大きな値であり、装置の良好性が示されると共にそれが超流動ヘリウムの持つ大きな圧縮率の反映であることが分かった。また、熱膨張率が負であるHe IIに特有な現象としての、衝撃圧縮に伴う温度降下、も自家製の超伝導温度センサにより捉えることに成功している。さらに、これらの結果は、He IIに対するランキンーユゴニオ関係式とも良く一致することも確かめられた。 3 気体力学的衝撃波の自由界面への入射に際しては、超流動ヘリウム中に圧縮衝撃波と共に熱衝撃波も誘起されるが、これも超伝導温度センサにより捉えることに成功し、その詳細が調べられた。この波形は、自由界面直下に発達した高密度量子化渦の影響により鋭い単峰状三角波、いわゆるlimiting profileとなっている、しかしその温度振幅はヒーター加熱等により誘起されるものよりも遥かに大きい、こと等が確認された。 衝撃圧縮により、He IIからHe Iへの高度に非定常なλ相転移を起こさせる事にも成功しており、これも温度計測を通じて実証することに成功した。この場合の最終状態は、衝撃断熱曲線よりもかなり高温側となることが見出された。
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