研究概要 |
九州大学・東京大学では超小型衛星の実現に向けて,要素技術開発としてのCANSAT,2種類の衛星開発並びに運用のための地球局システムの研究を行っている. 米国の大学と連携したCANSATに関しては,打ち上げた機体を指定ポイントに着陸させるミッションを設定し,両校ともロケットからの分離後にパラグライダーを展開する方式をとった.米国でサブオービタルフライトを行った結果,パラグライダーの展開やGPSによる位置測定などにそれぞれ不具合を生じたが,これらのデーターと経験を次年度のフライトに繋げることを目指す.ここで得られる要素技術は超小型衛星を構成する要素に反映できるものであるが,更に将来には惑星への軟着陸の手段にも適用できるものである. 東京大学では,軌道への打ち上げを狙った1kg級のCUBESATの製作を行い,機能試験,環境試験を終了し,2002年秋ないし冬の打ち上げへの準備を完了した.今後,米国へ輸送し,米国大学の他のCUBESATとのインテグレーションを行った後,全体をロシアに送る事となる.輸出に関する手続きも完了した. もう一段「大型」のQUEST(50kg級)については米国大学との協調に加え,東京大学も通信系を分担することとして九州大学が全体の設計を進めた.QUESTはテザー衛星であり,テザー伸展がもっともクリティカルなプロセスとなる.昨年までにテザーのリール機構と伸展制御機構を完成させたが,今年度は子衛星分離機構をマルマンクランプ方式で製作し地上試験により分離特性を確認した.合計5大学の共同作業であるので,インターネットにより各サブシステム間の調整を図る連絡方式を作り実行している. 地球局を相互利用する研究では個別局を完成させた.一方,通信での制御・データー取得に関してはそれぞれのプロトコールが異なり,今後統一することの必要性が認識された.九大,東大だけでなく,他の国内大学とも連携する方向で検討を進めている.更に,米国を含めた外国局との相互利用も当然視野に入っているが,国際間の法的問題,特に米国の厳しい軍事情報管理システムが障壁がとなっている.`
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