シアン耐性呼吸の関連酵素の遺伝子発現を登熟期のイネを使って調査した。その結果、登熟期間の遺伝子発現量はそれほど高くないことを確認した。また、生体内におけるシアン耐性呼吸の反応速度を迅速かつ非破壊的に測定するための質量分析計を用いた新たな方法を確立すべく装置の組立を行った。現在、その組立が完了ほぼ期待した通りの性能が得られることが確認された。(秋田) 低温ストレスや嫌気ストレスによるイネAOX遺伝子の発現様式を調査した。イネ幼植物体を4℃で処理するとAOX1a、AOX1bの両遺伝子とも発現が誘導されることが明らかとなった。それに対し嫌気ストレス条件下ではAOX遺伝子の発現は抑制された。これらのストレス条件下でのAOXの役割を評価するために、AOX遺伝子導入による形質転換イネを作出した。イネAOX1a及びAOX1bのcDNAをつないだプラスミドを作製し、イネ品種「ササニシキ」に形質転換した。現在のところ、T0世代のAOX1a導入植物が17個体とAOX1b導入植物が30個体得られている。来年度、これらの系統の中でAOXタンパク質の量の多い系統を選抜し、AOX遺伝子のストレス耐性への寄与を評価する。(中園)
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