研究分担者 |
原 敏夫 九州大学, 大学院・農学研究院, 助教授 (50117222)
麻生 陽一 九州大学, 大学院・農学研究院, 助教授 (10117054)
河口 豊 九州大学, 大学院・農学研究院, 助教授 (80038306)
伴野 豊 九州大学, 大学院・農学研究院, 助教授 (50192711)
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研究概要 |
1.体液CIの遺伝子の構造と機能の解析:体液中に存在する16種類のCIのうち,Ict-H遺伝子に支配されているCI--b1は通常のゲル電気泳動では検出されないが、酸性ゲルで検出された。CI--b1はこれまでに明らかにされたCIに比べ塩基性のタンパク質であった。分離精製を行こない電気泳動的に均一な蛋白質として分離した。一方、CI-b1 CI-13の遺伝子をクローニングし、各々のcDNA塩基配列と遺伝子のゲノムの塩基配列を決定した。 CI-b1およびCI-13の遺伝子はともに2つのイントロンと3つのエクソンから構成されていた。CI-13とCI-b1の5'-franking領域を比べると、TATAとCCAAT boxes,さらに、NF-κB;CATA:C/EBP;CI-13はCOUP-TF/HNF-4:RORα1;SRY;HOXA3などの転写調節因子の結合部位が同定された。 しかしながら、翻訳開始コドンの上流293番目の塩基から約93塩基が欠失しており、したがって、CI-b1に存在しているNF-κB,CATA,C/EBP(抗菌物質誘導に関係する転写因子の結合部位である)領域が存在しなかった。CI-13の2つのイントロンにはBm1が各々1個づつ挿入されていた。しかし、CI-b1は、1つのイントロンにBm1が2つ挿入されていたが、他のイントロには挿入配列が認められなかった。以上の結果,CI-13とCI-b1は共にキモトリプシンを阻害するものの、生体内では機能的に異なった働きをしていると推察される。 2.CI-13と相互作用するタンパク質の検索:CII-13とCI-b1と相互作用するタンパク質を調べたところ、大腸菌及びLPSを注射したカイコ体液中にCI-B1と結合するタンパク質、31kDa,14kDaが誘導されることが明らかとなった。現在このタンパク質の精製を行っている。しかし、CI-13と反応するものは検出されなかった。 3.CI-13の卵内局在性:卵内のCI-13と反応する内在性プロテアーゼの検索を行ったところ、ゲル電気泳動でCI-13と同じ移動度にプロテアーゼを検出した。そこで、このプロテアーゼの精製を始めたが、酵素活性がきわめて弱く測定が困難であったので、活性測定のためのアッセイ系の確立を試みている。 4.CI-8レセプターの分離精製:リガンドアッセイ法を用いて、変態期における中腸組織に分子量60kDaのCI-8レセプターを見つけた。現在ゲルから切り出し、分離してN-末端分析に出しているが、微量のたために決定するに至っていない。
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