研究課題/領域番号 |
11306006
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
植物栄養学・土壌学
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
松本 英明 岡山大学, 資源生物科学研究所, 教授 (80026418)
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研究分担者 |
江崎 文一 岡山大学, 資源生物科学研究所, 助手 (90243500)
山本 洋子 岡山大学, 資源生物科学研究所, 助教授 (50166831)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2001
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キーワード | 酸性土壌 / アルミニウムストレス / アルミニウム耐性遺伝子 / リンゴ酸放出 / 形質転換イネ / アルミニウム障害 / ミトコンドリア機能 / 活性酸素種 |
研究概要 |
準同質遺伝子系統コムギのET8(Al耐性)とES8(Al感受性)は、リンゴ酸放出に関わる遺伝子座Alt1が異なる。両系統から調製したcDNAを用いてサブトラクション法を行ない、ET8に特異的に発現する遺伝子(ATS1, aluminum tolerant specific)を単離した。形質転換イネおよびアフリカツメガエル卵母細胞の遺伝子発現系を用いてATS1の機能を調べた。CaMV35Sプロモーターの下流にATS1をつないだプラスミドをアグロバクテリウム法によりイネに導入し形質転換体を得た。野生株イネでは全くリンゴ酸放出は認められなかったのに対して、形質転換稲ではAl処理時に高いリンゴ酸放出を示した。また、ランタンや鉄などの3価イオンではリンゴ酸放出が起こらなかったことから、リンゴ酸放出はAlに特異的であることが示された。これらの結果から、ATS1はAl特異的なリンゴ酸放出機構に関与する遺伝子であり、遺伝子座Alt1と同じであることが示された。次に、アフリカツメガエル卵母細胞にATS1のcRNAを注入してタンパクを発現させ、さらにリンゴ酸を注入した後、細胞外液にAlを添加して電気生理学的測定を行った。その結果、膜電位のマイナス方向への過分極にともなった内向き電流の増大(マイナス電価の流出)が観察された。このことからATS1がリンゴ酸のチャンネルである可能性が示された。 Al処理されたエンドウ(Pisum sativum cv. Alaska)の根端のAl障害部位を用いて、ミトコンドリア活性の指標として呼吸量とATP含量を測定した。呼吸量ならびにATP含量はともに、根伸長阻害と同様に、Al濃度とAl処理時間の増加に依存して低下した。次に、ジヒドロエチジウムを用いた組織化学的染色法により、Alによる活性酸素種(ROS)の誘発は根伸長阻害と同時期に始まり増加し続けた。Alによる根伸長阻害へのミトコンドリア機能阻害ならびにROSの誘発の関わりは時間的にも空間的にも強く認められた。以上の結果より、Alによるミトコンドリアの機能阻害によって生じた細胞内ATP含量の低下ならびにROSの誘発が根の伸長を阻害している可能性が示唆された。
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