研究分担者 |
飯田 繁 九州大学, 農学研究院, 教授 (30284558)
佐藤 宣子 九州大学, 農学研究院, 助手 (80253516)
岡森 昭則 九州大学, 農学研究院, 助教授 (90112317)
遠藤 日雄 森林総合研究所, 林業経営部, 研究室長
小嶋 睦雄 静岡大学, 農学部, 教授 (50022273)
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研究概要 |
本研究は,長期にわたる木材価格の低迷,労働力の高齢化・減少,台風災害やシカ等の鳥獣害等によって著しく低下した林家の経営マインドの現状とその要因を調査・分析することによって, (1) 林家の経営マインドに依拠して進められているわが国の森林資源政策が転機を迎えていることを明らかにすること (2) 森林資源管理の社会化を含む新しい森林資源管理システムのあり方を明らかにすることを目的としている. 本年度は,森林施業放棄の要因調査を研究分担者全員の参加によって,四国(高知県嶺北流域)及び北海道(十勝流域)において実施した.また,研究分担者はそれぞれの立場から調査報告書を執筆し,それをインターネットで交換し,内容の訂正,豊富化と論点の深化を行った. さらに,森林資源管理の「社会化」に関する公開シンポジウムを国立森林総合研究所において開催し,(1)森林資源所有の社会化,(2)森林造成管理費用負担の社会化,(3)資源管理に向けた合意形成の社会化,の3局面から検討する方法について討論を行った. (1)森林資源所有の社会化については,私有林制度下の森林資源利用に対して一定の社会的制約を加えることを意味する.素材生産資本が人工林を管理する形に森林資源所有を管理する形に森林資源所有を再編することを意味し,具体的な形態として「長期伐採権制度」を提案した. (2)森林資源管理費用負担の社会化は,形骸化した既存の造林補助金制度等に代わって,「長期伐採権制度」と連動させた形で再造林経費の全額公費負担制度を構築する必要がある. (3)資源管理の合意形成については,森林資源管理への住民参加と同義であり,「長期伐採権制度」にもとづく林業経営計画の認証という形で,計画段階から流域住民との間で合意形成を行うことの必要性を明らかにした. これらを来年度早々に印刷公刊し,第3年度の取りまとめ討論の参考にする予定である.
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