研究課題/領域番号 |
11306013
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
渡部 終五 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (40111489)
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研究分担者 |
境 正 宮崎大学, 農学部, 教授 (60136794)
潮 秀樹 東京水産大学, 助教授 (50251682)
小林 牧人 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (30183809)
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キーワード | 温度適応 / 魚類 / 細胞小器官 / ミオシン重鎖遺伝子 / チロキシン / 膜電位ポテンシャル / 筋原線維 / 高温耐性ニジマス |
研究概要 |
魚類は変温動物で、その体温は水温の変化に応じて大きく変化するが、その生体成分を包括的かつダイナミックに変化させて体内の恒常性を保ち、生命活動を維持する。このような環境水温の変化に伴う魚類の生体の変化は、魚類の成長や漁獲後の死後変化などに大きな影響を及ぼすことが想定されるが、その詳細は不明のままである。そこで本研究は、温度情報がホルモンを介してどのような機構で遺伝子およびその発現調節まで至り、細胞小器官まで含めた魚類の代謝調節に結びつくのかを総合的に調べることを目的とした。 まず、霞ヶ浦から周年コイを採取し速筋筋原線維Mg^<2+>-ATPase活性を測定したところ、11月に最高値を、その後徐々に低下し6〜7月に最低値を示した。一方、血漿中のチロキシン濃度は夏に高く、冬に低い値となり、水温および筋原線維Mg^<2+>-ATPase活性と相関関係を示した。さらに、コイのゲノムライブラリーから高温誘導型ミオシン重鎖遺伝子MyHC30を単離し5'上流域につき機能解析を行ったところ、約-1kbに存在するMEF2結合配列が転写活性に必要であることが示された。次に、既報のコイ低温誘導型ミオシン重鎖遺伝子MyHC10の5'上流域につき機能解析を行ったところ、転写活性には5'上流824-921bが重要であった。次に、高温処理で選抜したニジマスを対照の非選抜区とともに16および24℃で飼育し血清を採取して2次元電気泳動で分析したところ、24℃飼育した非選抜ニジマス群で、58、46、44、38および36kDa成分の増大が示された。また、電位感受性プローブによる蛍光イメージングを用いてATP生成の源である魚類培養細胞ミトコンドリア膜電位測定法を確立した.本法を用いることにより,温度適応に応じてミトコンドリア膜電位ポテンシャルエネルギーが変化するかどうかを評価することができるものと思われた.
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