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1999 年度 実績報告書

「環境ホルモン」の野生動物に対する影響とその作用機序の解明

研究課題

研究課題/領域番号 11306021
研究種目

基盤研究(A)

研究機関北海道大学

研究代表者

藤田 正一  北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 教授 (10143314)

研究分担者 星 英之  大阪府立大学, 農学部, 助手 (30301188)
数坂 昭夫  北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助教授 (00002113)
キーワード環境ホルモン / 異物代謝酵素CYP / バイオマーカ / ゴマフアザラシ / クラカケアザラシ / CYP1A1 / CYP2B / アロマターゼ活性
研究概要

我々は、微生物から高等動物まで広く生物界に分布し、体外から侵入する汚染物質などの異物に対処する異物代謝酵素P450(CYP)が環境汚染の良いマーカとなることを示唆してきた。本年度、海棲哺乳類をモデル動物として、従来から行われてきた化学的アッセイとCYPをバイオマーカとするバイオアッセイとの相関を検討した。化学分析により、ゴマフアザラシおよびクラカケアザラシとも、皮下脂肪に海洋表面濃度の10億倍、1億倍に濃縮されたPCB、DDTを保持していることが明らかになった。そして、それらの含有量は両動物の肝異物代謝酵素CYP1A1に依存する酵素活性との間に正の相関関係が認められ、肝臓に存在するCYP1A1が環境汚染の良い指標となることが示された。更に、アザラシでは、CYP2Bがほとんど無くラットでCYP2B依存の酵素活性が、アザラシではCYP1A1が触媒していることも明らかになり、幅広い解毒能力を持つ酵素が汚染物質除去に応用可能であることも指摘された。
以上の結果を基に、環境ホルモンとして危険性が注目されているフタル酸エステルとその代謝物のエストロゲン合成アロマターゼ酵素(P450 19)誘導に対する効果を検討し、フタル酸エステルの内分泌攪乱物質としての作用機序を明らかにすることを試みた。胎児期、授乳時および離乳後9週齢までフタル酸ジブチルに曝露されたラットを実験動物として使用し、肝臓ミクロソームにおけるアロマターゼ活性を検討した。現在、コントロール群との間にアロマターゼ活性の顕著な差違は見出されていないが更なる検討を継続中である。

  • 研究成果

    (7件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (7件)

  • [文献書誌] Nakamura, A., et al.: "Cytochrome P-450 isoforms responsible for the N-demethylation and cyclohexane-hydroxylation of NS-21"Xenobiotica. 29. 243-252 (1999)

  • [文献書誌] Kim, E.-Y., et al.: "Preliminary survey of lead poisoning of steller's sea eagle (Haliaeetus Pelagicus) and White-tailed sea eagle (Haliaeetus albicilla) in Hokkaido, Japan"Environmental Toxicology and Chemistry. 18 No3. 448-451 (1999)

  • [文献書誌] Shimamoto, Y., et al.: "Decrease in hepatic CYP2C11 mRNA and increase in hemoxygenase activity after intracerebroventricular injection of bacterial endotoxin"J. Vet. Med. Sci.. 61. 609-613 (1999)

  • [文献書誌] Yamamoto, H., et al.: "Mechanism of enhanced lipid peroxidation in the live of Long-Evance cinnamon (LEC) rats"Arch. Toxicol.. 73. 447-464 (1999)

  • [文献書誌] Takahashi, J., et al.: "Characterization of hepatic cytochrome P450 isozyme composition in the transgenicrat expressing low level human growth hormone"Xenobiotica. 29. 1203-1212 (1999)

  • [文献書誌] Yoon, S., Kazusaka, A., Fujita, S.: "FT-IR spectroscopic and HPLC chromatographic studies of CCl_4-induced acute hepatits in rat -Damage in liver phospholipid membrane-"Biospectroscopy, (in press).

  • [文献書誌] 藤田正一編: "毒性学"朝倉書店. 300 (1999)

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公開日: 2001-10-23   更新日: 2016-04-21  

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