細胞間透過性と細胞極性を規定する新しい細胞接着分子群クローディンファミリーの解析

2001 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 11307002
• 研究機関: 京都大学
• 研究代表者: 月田 承一郎 京都大学, 医学研究科, 教授 (50155347)
• 研究分担者: 古瀬 幹夫 京都大学, 医学研究科, 助教授 (90281089)
• キーワード: タイトジャンクション / クローディン / GFP / PDZドメイン / MUPP1 / 重合 / ストランド / FRAP

研究概要

生きた細胞におけるTJストーンランドの可視化
本年度は、GFPテクノロジーを利用して、TJストランドの動態を、生きた細胞の中で可視化することを試み、成功した。これまで我々は、TJを持たないマウスL線維芽細胞にクローディンを強制発現すると、TJストランドが細胞間に再構成されることを見出してきた。そこで、GFPとクローディン-1との融合蛋白質をL線維芽細胞に発現させたところ、同様にTJストランドを再構成した。このストランドはGFPにより強くラベルされていることになる。超高感度の蛍光シグナル観察装置を用いると、このような細胞が生きたままの状態で、一本一本の再構成されたTJストランドを直接観察することができた。その結果、TJストランドはこれまで想像されていたよりもはるかに動的な構造であることが明らかになった。それぞれのストランドは、しばしば断裂して2本に分かれたり、逆に、端と端で結合して一本の新しいストランドを形成したりした。また、端と側面、または側面と側面で強く結合した。FRAP(fluorescence recovery after photobleaching)などの結果も考え合わせることにより、まったく新しいTJの姿が浮き彫りにされてきた。
クローディンに結合する新しい裏打ち蛋白質の同定
本年度は、クローディン-1のC末端側細胞質ドメインをベイトとして、マウス胎児のcDNAライブラリーを用いたyeast two-hybrid法により、クローディンC末端に直接結合するPDZドメイン含有蛋白質の検索を試みた。その結果、これまでTJに局在することが知られているZO-1と呼ばれるPDZ含有蛋白質以外に、PDZドメインを13個も一分子内に持つMUPP1(Multi-PDZ proteinl)と呼ばれる高分子量蛋白質がクローデインと結合することが分かった。

研究成果

• [文献書誌] Furuse M.: "Claudin-based tight junctions are Crucial for the mammalian epidermal barrier : A lesson from claudin-1-deficient mice"Journal of Cell Biology. 印刷中. (2002)
• [文献書誌] Hamazaki Y.: "Multi-PDZ-Containing protein 1(MUPP1)is concentrated at tight junctions through its possible interaction with claudin-1 and JAM"Journal of Biological Chemistry. 277. 455-461 (2002)
• [文献書誌] Itoh M.: "Junctional adhesion molecule(JAM) binds to PAR-3: a possible mechanism for the recruitment of PAR-3 to fight junctions"Journal of Cell Bialogy. 154. 491-497 (2001)
• [文献書誌] Mimori-Kiyosae, Y: "Where is APC going?"Journal of Cell Bialogy. 154. 1105-1109 (2001)
• [文献書誌] Furuse M.: "Conversion of Zomula Oceludentes from fight to leaky strand type by introducing claudin-2 into MPCR I cells"Journal of Cell Biology. 153. 263-272 (2001)
• [文献書誌] Tsukita S.: "Melti-fomcfional strands in fight junetions"Nature Review of Melecular Cell Biology. 2. 285-293 (2001)