研究課題/領域番号 |
11307007
|
研究種目 |
基盤研究(A)
|
研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
徳永 力雄 関西医科大学, 医学部, 教授 (40121959)
|
研究分担者 |
園藤 陽子 関西医科大学, 医学部, 講師 (50193438)
河野 比良夫 関西医科大学, 医学部, 講師 (30148522)
|
キーワード | 内分泌撹乱化学物質 / 生殖毒性 / エストロゲン |
研究概要 |
今年度は内分泌撹乱物質の作用機構についての基礎的知見を得るために、ヒトのエストロゲン受容体を発現させた酵母および動物細胞を用いた転写活性の測定系において、異なる挙動を示すことが報告されている天然化学物質等について、その原因解明への手掛かりを得るために、様々な検討を加えた。その結果1)ブドウ果皮等に含まれる天然化学物質であるレスベラトロールが、動物細胞においては10μMでエストラジオールと同等以上の最大活性を示すが、酵母においては100μMでもエストラジオールの20%程度の低い活性しか示さず、2)単独では全く活性が認められない低濃度において、エストラジオールの共存下では相加性以上の活性を示すことを見出した。さらに、3)ジエチルスチルベストロール(DES)の共存下でも同様に相加性以上の活性を示し、4)ビスフェノールAもレスベラトロールと同様に、DESの共存下で相加性以上の活性を示すことが明らかになった。しかしながら、5)酵母において観察された相加性以上の活性は、動物細胞においては認められなかった。これらの結果より、酵母において観察された相加性以上の活性は、動物細胞においては認められなかったことから、エストロゲン受容体そのものの普遍的性質によるのではなく、エストロゲン受容体を介した転写活性化に関る転写共役因子の種類および性質が、動物細胞と酵母の間で異なることに由来する可能性が示唆された。
|