研究概要 |
【目的】これまでに我々は,心肥大・心不全においてサイトカインの果たす役割を検討してきた.心肥大・心不全の直接の引き金である物理的負荷はサイトカイン産生やp38MAPKなどの細胞内シグナル分子の活性化を誘導する. in vitroにおいては,p38MAPKが心筋細胞肥大・アポトーシス・サイトカイン産生に関わっていることがすでに報告されている.われわれの検討では,心肥大・心筋梗塞モデル動物においてもp38MAPKの活性化を認め,さらにその阻害薬を投与することにより病態の改善を認めた.そこで,p38MAPKの上流のMKK6のセリン/スレオニンをグルタミン酸に変換することによりconstitutively active form(MKK6E)を作製し,p38bとco-injectionすることによりdouble transgenic mouseの作製を試みた.プロモーターはいずれもCAGプロモーターを用いた.しかし,p38bを過剰発現するものはすべて胎生致死であり,MKK6Eの過剰発現マウスのみが得られた.驚くべきことに,MKK6E過剰発現マウスはまったく正常に発育し,体重の若干の増加以外はほどんど正常の表現型を呈した.そこでこのマウスに大動脈狭窄による心圧負荷および冠動脈結紮による心筋梗塞等の負荷を加えてその反応の違いを検討するとともに,体重増加について現在解析を続けている.さらに,PPAKについても現在過剰発現マウスを作製中である.
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