研究課題/領域番号 |
11307025
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
生塩 之敬 熊本大学, 医学部, 教授 (20028583)
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研究分担者 |
西 徹 熊本大学, 医学部・附属病院, 助手 (00264309)
河内 正人 熊本大学, 医学部, 助教授 (70178218)
佐谷 秀行 熊本大学, 医学部, 教授 (80264282)
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キーワード | グリオーマ / 10番染色体 / LOH / PTEN / p53 / 生存日数 / p16 / EGFR |
研究概要 |
1)10番染色体欠失(LOH)の解析 =昨年度に引き続き、症例数を増やし研究を継続している。現在までに約220例の解析を行い、以下の知見を得た。10番染色体のLOHはanaplastic astrocytoma (AA)の約30%、glioblastoma multiforme (GBM)の約60%において観察された。一部の例外(NF1合併例)を除いて、low grade gliomaでは観察されなかった。20〜30歳代ではLOHの割合が低かった。AAではPTEN領域よりもテロメア側がよく欠失していた。成人大脳半球例に限れば、AAではFGFR2およびDMBT1領域に位置するD10S209のLOHが、またGBMではPTEN領域のLOHが生存期間と相関した。 2)p53遺伝子変異(mutation)の解析 =出芽酵母を利用して変異を解析した結果、diffuse astrocytmaの約25%、AAの約50%、GBMの約35%においてp53の変異が見られた。GBMにおいて、P53に変異を持つ群は有意にtime to tumor progression (TTP)が延長し、放射線および化学療法に対して感受性が高いと考えられた。しかし、生存期間に関しては影響は及ぼさなかった。 3)p16遺伝子欠失(homozygous deletion)の解析 =multiplex PCR法を用いて解析した結果、GBMの約30%にp16遺伝子の欠失を認めた。欠失の有無は生存期間およびTTPと有意に相関した。この相関は、男性でより強く認められた。 4)EGFRの増幅は現在解析中である。これらの遺伝子異常を組み合わせてグリオーマを細分類し、予後との相関を含めた検討を行っている。
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