研究課題/領域番号 |
11307027
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
土肥 修司 岐阜大学, 医学部, 教授 (40155627)
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研究分担者 |
辻藤 達也 岐阜大学, 医学部・附属病院, 助手 (10293573)
飯田 宏樹 岐阜大学, 医学部, 助教授 (30159561)
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キーワード | 局所麻酔薬 / ロピバカイン / シグナル伝達 / MAPK / アポトーシス / TTX / Na^+チャネル / Na^+-K^+-ATPase |
研究概要 |
脊髄後根神経節(DRG)ニューロンは疼痛受容のシグナル伝達に於いて重要な役割を担っている。新しい局所麻酔薬、ロピバカインのラットDRGニューロンへのNa^+チャネルへの作用を、設備したパッチクランプ法で検討した。テトロドキシン(TTX、0.2μM)に感受性(TTX-S)と抵抗性ニューロン(TTX-R)に同定し、主に大きいニューロンからTTX-S Na^+チャネルが、小さいニューロンからはTTX-R Na^+チャネルが観察され、ロビバカインは後者を強く抑制した(IC_<50>値:243±22vs 64±16μM)。ロピバカインの光学異性体である(R)-isomerのIC_<50>値は同じであった。 更に、局所麻酔薬の細胞内シグナル分子機構への作用を検討するために、培養細胞(HL60とPC12)を用いて検討した。神経細胞は、その膜脂質を介してさまざまな細胞内シグナル伝達を制御し、特にERK、ホスホリパーゼ系は、細胞外からのホルモンや神経伝達物質-受容体を介するシグナル伝達に重要である。局所麻酔薬(プロカイン、リドカイン、ブピバカイン、テトラカイン)は、ムスカリン受容体刺激のERK活性を抑制した。MAPKファミリー活性化を伴うPC12細胞のアポトシースを誘起した。ERKとJNK活性のバランスによって細胞の運命が決まり、局所麻酔薬誘発のアポトシースには、ホスホリパーゼとPKCファミリーの活性化が関与し、細胞内へのCa^<2+>流入がアポトシースの原因と示唆された。更に、局所麻酔薬の細胞内シグナル伝達分子への作用は、TTXやNa^+チャネル活性薬であるveratridine、Na^+-K^+-ATPaseの阻害薬のウアバインでは影響されず、神経細胞膜内外のイオン勾配の変化がシグナル分子作動のトリガーではないと結論できる。
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