研究課題/領域番号 |
11307032
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
村田 雄二 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (40283759)
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研究分担者 |
藤井 絵里子 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (70231561)
大道 正英 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (10283764)
神崎 徹 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (00263278)
福田 裕償 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (40324751)
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キーワード | 低酸素・虚血性脳症 / 臍帯遮断 / フルクトース / 低体温 / アポトーシス |
研究概要 |
1.慢性実験モデルを用いた脳障害に関する研究。 胎仔平均血圧が30mmHg以下の低血圧を積算で10分間持続するように臍帯血流遮断実験を行い、血液ガス所見、胎仔血圧、脳血流の相互の関係と、さらに脳の組織学的な障害の程度との関係を検討した。臍帯血流遮断によるinitial responseは末梢血管抵抗の上昇で、このため血圧は上昇し、脳血流は減少する。その後脳血流は徐々に増加するが、一旦上昇した血圧の低下に伴い脳血流は血圧依存性に低下する。この時血液ガス所見は著明なアシドーシスを示しており、アシドーシスが進行すると脳血流は血圧に依存することを明らかにした。脳の組織学的検討は現在行っている最中であり、この結果から脳障害の程度と脳血流との関係が明らかとなる予定である。臍帯遮断開始前から遮断中にかけてフルクトースを投与した群と非投与群とで脳障害の程度を比較し、臍帯遮断による脳障害に対する保護効果について検討を行った。予定の例数の実験は終了し、現在脳の組織学的変化を検索中で、その結果によりフルクトースの脳保護効果の有無について結論が出る。 2.7日目新生児ラットを用いた低酸素・虚血脳障害の発生メカニズと低体温による保護効果に関する研究。 新生児ラットに対し、頸動脈結紮と8%の低酸素負荷を加え脳障害を作成した。免疫組織染色でアポトーシスの必須酵素であるcaspase3を同定し、脳障害の発生にアポトーシスが強く関与していることを明らかにした。同じモデルに対して低酸素・虚血負荷後に30度cの低体温環境にさらし、低体温の脳障害予防効果について検討を加えた。低体温群では脳の組織学的変化は全く消失し、またcaspase3は認めなかった。低体温による脳保護効果は、アポトーシスの抑制により発揮されることが明らかとなった。
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