研究課題/領域番号 |
11307035
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
小宮山 荘太郎 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (20038730)
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研究分担者 |
夜陣 紘治 広島大学, 医学部, 教授 (10136062)
福田 宏之 国際医療福祉大学, 医学部, 教授 (40051510)
新美 成二 国際医療福祉大学, 医学部, 教授 (00010273)
森 一功 近畿大学, 医学部, 助教授 (30230064)
湯本 英二 熊本大学, 医学部, 教授 (40116992)
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キーワード | 発生機能検査 / フォノグラム / voice profile / 声の調節 / 声の基本周波数 / 2次元散布図 / 声帯麻痺 / 治療効果判定 |
研究概要 |
過年度までの研究成果に加え、本年度の研究計画に従い研究代表者も含め全国8施設における発声機能検査装置(SK-99)により得られたデータを集計し、フォノグラムを用いた音声検査の有用性について検討した。正常者ならびに音声障害者の発声時の声の基本周波数、音圧と同時に呼気流率を記録し、各被検者の声の周波数と音圧の可変領域からvoice profileとしてのフォノグラムを作製することにより喉頭の音声機能における効率を比較検討した。本年度の研究ではこれらの検討結果をもとに、フォノグラムにおける発声機能の視認性、経時的な機能評価の有用性を立証し、本検査法の有用性を確認することができた。 正常例では、音声の高さ、強さ、発声時呼気流率の3つのパラメータを同時測定し、今回開発したソフトウエアで解析し、2次元散布図の正常分布範囲を計算した。その結果、以下のことが明らかとなった。高さと強さの関係では、若年では全体の形が緩いS字状を呈するが、男性では、S字状形態は女性ほどは明かではない。呼気流率と高さの関係では、男女とも全体として高さが加齢とともに低下し、全体の形はいわゆる「寸胴」に変化していく。呼気流率と強さの関係では、女性の場合強さの下限がほとんど一致するのに、男性ではこの傾向がない。また、代表的な音声疾患での2次元分布と比較することで、この正常範囲の解析は有用である。また、データの再現性の検討では被検者間の比較ではばらつきが比較的多く認められるが、同一被検者においては長期間の経過を経てもvoice profileのパターンには高い再現性が確認された。 音声障害例の検討では、voice profile検査は治療前後の声の高さおよび声の強さの調節能の評価に有用で、特に一側声帯麻痺症例の手術前後の治療効果判定に有用で、MPT(最長持続発生時間)、平均呼気流率等の空気力学的パラメーターのみでは検出できなかった術後の喉頭の調節機能についても評価可能であった。このように本検査法は発声機能を視覚的、包括的に捉えることができ、臨床応用の範囲が広がるものと考えられる。以上のように本検査の臨床的有用性は確立された。今後は診療報酬の対象になる検査となるよう申請する予定である。
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