研究概要 |
交感神経α_1blocker特にα_<1D>subtypeのblocking作用による新たな房水排出促進法について研究を行った。有色家兎の交感神経α_<1D>受容体遮断薬の点眼で眼圧下降および房水流出の増加を認めたがカニクイザルでは認めなかった。本剤の作用には種差が存在することが示唆された。 Na^<+->HCO_3-cotransporterの眼組織における役割に関する実験を行った。まず、Na^<+->HCO_3-cotransporter(NBC-1)の腎型(kNBC-1)および膵型(pNBC-1)アイソフォームそれぞれに特異的な抗体を作製し、ヒトおよびラット眼球にて免疫組織学的検討を行った。その結果、この二つのNBC-1アイソフォームが共に角膜内皮、レンズ上皮、および繊維柱帯に発現していることを確認した。NBC-1の活性低下が繊維柱帯細胞の機能異常を引き起こし、そのため眼房水の排出不全を呈する可能性が示唆された。 また、視神経乳頭微小循環のautoregulationに関する実験を家兎を用いて行った。視神経乳頭は眼圧の変化に対してautoregulationの反応を見せたが、その反応はカルシウム拮抗剤により減弱されたが,NOS阻害剤,インドメタシン,交感神経切除によっては影響を受けなかった。 さらに、ラット実験的緑内障モデル・網膜神経節細胞障害モデルによる実験を行ったところ、カルシウムブロッカーがカイニン酸による網膜神経節細胞障害を抑制することが明らかとなった。 培養網膜神経節細胞およびグリア細胞による実験では、網膜神経節細胞死にグリア細胞が関与すること、また低酸素および高圧ストレスによりグリア細胞からNOが発生し、また神経栄養因子の発現が低下することが示された。
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