研究課題/領域番号 |
11307037
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
西村 善彦 京都大学, 大学院・医学研究科, 教授 (50081790)
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研究分担者 |
谷原 正夫 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 教授 (50294286)
遠藤 克昭 京都大学, 大学院・医学研究科, 助手 (30025613)
鈴木 義久 京都大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (30243025)
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キーワード | 脊髄再生 / 末梢神経再生 / アルギン酸 |
研究概要 |
我々が新規に開発した、細胞毒性のないアルギン酸スポンジは、創傷被覆剤として表皮の再生に有用なだけではなく、末梢および中枢神経組織の再生にも有用であることがわかってきた。 中枢神経:アルギン酸ゲルをラットの脊髄に作成した 2mmのギャップに移植し、脊髄内軸索の再生を検討した。移植術後6-8週間で、電気生理学的にギャップを越えた信号伝達が、上行性にも下行性にも認められた。また、術後8週間で組織を固定し、光学顕微鏡、電子顕微鏡で見るとギャップの中央部に、再生したものと思われる有髄、無髄軸索が多数見られた。免疫組織化学染色では、脊髄内軸索、後索路の軸索、錐体路の軸索などがギャップ内部に伸長しているのが確認された。HRP用いて神経を標識すると、上行路(後索路)、下行路(錯体路)とも再生した軸索はギャップを越えて、切断された対側の脊髄に再侵入しているのが確認された。運動機能回復など中枢神経に関しては問題も多く、今後の研究課題となる。 末梢神経:ネコ、ラットの坐骨紳経を切断しギャップを作成し、そこにこのアルギン酸スポンジを移植し、末梢神経軸索の再生を観察した。数週間でギャップを越えて軸索が再生し、電気生理学的にも、組織学的にも切断した坐骨神経はつながった。また、末梢神経の場合は、縫合しなくても切断した両端の間にアルギン酸を乗せるだけで、坐骨神経が再生しているのが確認された。これは、このアルギン酸を、人工神経として応用する際に、特殊な技術、装置が無くても、人工神経移植が出来ることになり、非常に有用なことである。末梢紳経に関しては、人工神経として臨床応用できるようになるのも近いと思われる。
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