研究課題/領域番号 |
11307037
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
西村 善彦 京都大学, 医学研究科, 教授 (50081790)
|
研究分担者 |
谷原 正夫 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 教授 (50294286)
遠藤 克昭 京都大学, 医学研究科, 助手 (30025613)
鈴木 義久 京都大学, 医学研究科, 助教授 (30243025)
|
キーワード | アルギン酸 / 神経再生 / 脊髄 / 坐骨神経 |
研究概要 |
(方法)紫外線照射により緑色の蛍光を発するタンパク(GFP)の遺伝子を導入したマウスの胎児(胎生16〜18日)の脳・脊髄組織よりニューロスフェア法を用いて、神経幹細胞を分離培養した。生後30日のラットの脊髄を胸髄の中央部あたり(Th6-7)で2箇所切断し、その間の部分を除去することで、約1mmのギャップを作成した。このギャップに、先の神経幹細胞を、われわれの施設で開発してきた凍結乾操アルギン酸スポンジをキャリアとして用い、移植した。このラットを、免疫抑制剤を投与しながら1〜4週間飼育した。潅流固定し、免疫組織化学染色し、移植した神経幹細胞の状態、分化しているか否かを観察した。また、移植した幹細胞と脊髄組織の相互作用も観察した。(結果)移植した幹細胞は、数は減少するものの一部はギャップ内、宿主の脊髄組織内で生育した。各種抗体を用いた免疫組織化学染色法にて、神経幹細胞は神経細胞方向、神経膠細胞方向等に分化していると思われた。宿主の神経膠細胞と移植した神経幹細胞が重なり、絡み合っているような所見も得られた。また移植した神経幹細胞が脊髄切断端より宿主の脊髄組織内に遊走・侵入している様子も観察された。(考察)キャリアとしてのアルギン酸の性状にはまだまだ改良の余地があるが、キャリアとしての機能は果たせる期待が伺われた。また、アルギン酸が神経幹細胞の生育、分化を抑制することが少ないこともわかった。宿主の脊髄組織との相互作用は、今後電子顕微鏡等を用いて、詳細な検討が必要であるが、何らかの相互作用はしていることが推察された。
|