研究課題/領域番号 |
11307052
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研究機関 | (社)北里研究所 |
研究代表者 |
大村 智 社団法人 北里研究所, 生物機能研究所, 所長 (90050426)
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研究分担者 |
塩見 和朗 社団法人 北里研究所, 生物機能研究所, 室長 (40235502)
乙黒 一彦 社団法人 北里研究所, 熱帯病研究センター, 部長 (80118794)
山田 陽城 社団法人 北里研究所, 東洋医学総合研究所, 部長 (60096691)
清原 寛章 社団法人 北里研究所, 東洋医学総合研究所, 室長 (70161601)
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キーワード | 抗マラリア剤 / 天然物化学 / 微生物素材 / 植物素材 / 活性物質の精製 / 活性物質の構造決定 |
研究概要 |
前年に引き続きin vitroスクリーニングを行なった結果、選択毒性の高い抗マラリア活性を有する天然物素材として放線菌4株、糸状菌2株及び一薬用植物抽出物を活性物質取得候補とした。微生物素材については、これらの生産菌を培養し、培養液より抗マラリア活性を指標に活性物質を精製後、構造決定を行なっている。これらの中で一糸状菌FKI-0266株の生産する抗マラリア活性物質はペプチド系抗生物質のP168(leucinostatin)であると同定されたが、優れた抗マラリア活性と中程度の選択毒性を示すことは新規な知見である。他の株については現在検討中である。また保管している抗生物質ライブラリーについても抗マラリア活性の再評価を行い、ペプチド系抗生物質のhormaomycinに中程度の抗マラリア活性と優れた選択毒性を示すことを見いだした。また、前年度報告した一放線菌K99-5147株が生産する抗マラリア活性物質をurdamycin Fと推定したが、その後の検討でテトラサイクリックキノン系抗生物質のpolyketomycinであると同定した。薬用植物素材については現在検討中である。 さらに、前年度に一放線菌K99-0413株が生産する抗マラリア活性物質をポリエーテル系抗生物質X-206と同定したが、今回、本物質を大量に生産し、ネズミマラリア原虫を感染させたin vivo感染治療実験を実施し、皮下投与にてED50値0.53mg/kgで有効であることが判明した。しかし、本物質は3mg/kg以上の投与では毒性を示し、治療域は狭い化合物であった。また、ポリエーテル系抗生物質は生体内で各種陽イオンとの親和性を示すことよりイオノフォアとして働いている。そこで、各種ポリエーテル系抗生物質についてin vitroでの抗マラリア活性を評価し、各ポリエーテルに親和性の高い陽イオンの原子価を比較したところ、1価〉1価及び2価〉2価の順に抗マラリア活性と選択毒性が高いことが解った。現在これらのポリエーテル系抗生物質群の一連の知見について論文発表の準備中である。
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