研究課題/領域番号 |
11307056
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
田中 亀代次 大阪大学, 細胞生体工学センター, 教授 (80144450)
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研究分担者 |
竹内 聖二 大阪大学, 細胞生体工学センター, 助手 (10304065)
西條 将文 大阪大学, 細胞生体工学センター, 助手 (90221986)
中津 可道 大阪大学, 細胞生体工学センター, 助教授 (00207820)
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キーワード | 転写 / 転写と共役した修復 / ヌクレオチド除去修復 / 色素性乾皮症 / 遺伝子ターゲティング / ミスマッチ修復 / GTPase / 核移行 |
研究概要 |
1)XPAと結合する新規蛋白質XAB1及びXAB2を酵母Two Hybrid Systemを用いて同定した。XAB2蛋白質はTPR motifを持ち、蛋白質複合体形成に関与することが示唆された。XAB2は、XPAの他に、CSA、CSB蛋白質、RNA polymerase IIとも結合することを明らかにすると共に、抗XAB2抗体を生きた細胞にマイクロインジェクションすることにより、XAB2は転写と共役した修復及び転写に関与することを明らかにした。XAB2複合体の精製を、FLAG-XAB2を発現させたHeLa細胞抽出液と抗FLAG抗体アフフィニテイーカラムを用いて行い、少なくとも10個以上の蛋白質がXAB2複合体に含まれることを明らかにした。質量分析法により、それらのアミノ酸配列を決定した。ヒト及びマウスの染色体XAB2遺伝子をクローニングし、その全てのDNA塩基配列を決定し一次構造を明かにした。そして、転写制御部位とエキソン1-4を欠失させるような、あるいは、XAB2のC末端162個のアミノ酸残基を欠失させるような、XAB2遺伝子ターゲテイングをマウスES細胞を用いて行った。いずれのターゲテイングによってもマウスは胚盤胞期以前に致死となり、XAB2遺伝子は胎児発生に必須の遺伝子であることを明らかにした。2)XAB1は、分子量41kDaの、G1-G4モチーフを有しGTPase活性を持つ新規蛋白質であり、XPAの核移行シグナル部分と特異的に結合することを明らかにした。3)XPA欠損マウスにUV照射してできた皮膚癌組織より、皮膚癌細胞株を樹立した。これらは、NER能を欠損したままであるにもかかわらず、UVに著明な抵抗性を示し、mMSH2やmMSH3などのミスマッチ修復蛋白質の著明な減少、ミスマッチ修復活性の低下を示した。さらに、UV照射後のG1/Sのチェックポイント機構にも異常を示した。これらの因果関係を明かにするため、XPA/MSH2ダブル欠損マウスを作成し、その紫外線感受性及び細胞周期チェックポイント能を調べた結果、ミスマッチ修復蛋白質がUV照射後のG1/Sのチェックポイント機構、ひいてはUV抵抗性に関与していることを確認した。ミスマッチ修復異常が皮膚発癌過程に重要な役割を果たしていることが示唆された。
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