がんデイケアモデル開発のための実証的研究

2002 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 11307057
• 研究機関: 聖路加看護大学
• 研究代表者: 小松 浩子 聖路加看護大学, 看護学部, 教授 (60158300)
• 研究分担者: 林 直子 聖路加看護大学, 看護学部, 講師 (30327978) ; 外崎 明子 聖路加看護大学, 看護学部, 講師 (20317621) ; 射場 典子 聖路加看護大学, 看護学部, 講師 (00258980) ; 橋爪 可織 聖路加看護大学, 看護学部, 助手 (20338578) ; 中山 祐紀子 聖路加看護大学, 看護学部, 助手 (30338579)
• キーワード: がんデイケアモデル / がん患者 / がん医療システム / がんとの共生

研究概要

本研究の目的は、がんとの主体的な共生を支援するための新たなケアシステム・方略として「がんデイケアモデル」を開発し、臨床適用による効果の検討を行うことである。研究の最終年度にあたり、モデル試案の精錬の継続と実用化にむけた臨床適用を行った。その結果、次のような成果を得ている。(1)洗練を重ねたモデル試案は、実践適用のための実用性を備えたデイケアプログラムとして具体化し、【がん治療や生活調整に関する自己学習Kit<パンフレット、自己記録ノート、ビデオ、CAIなど>】【パートナーシップや相互性を促進するサポートプログラム<グループによる語らいの場>】を開発した。そして、(2)デイケアプログラムの内容妥当性と適切性を検討するために、がん看護の専門看護師ならびにエキスパートから構成するパネルにより討議を繰り返し、内容と方法の修正を行った。併せて、乳がん患者会のメンバーに、内容の適切性について検討を依頼し、内容の修正を行った(3)安全で効率的なシステムとしてのデイケアユニット運用をめざし、研究協力病院において、デイケアユニットの環境整備と外来部門ならびに他の部門との連携・調整に関する検討をすすめると同時に、プログラムを運用する看護師への教育的セッションを企画した。(4)準実験デザインにより、プログラムの臨床適用と評価を行った。外生変数を制御するために、対象は乳がんの術後補助療法(EC療法)を通院治療により実施するもので、研究参加の承諾の得られた女性に限定した。両群のデータの汚染を防ぐために、先に対照群のデータ収集を実施し、その後ケアプログラム実施のための看護師教育セッションを開催し、受講をおえた看護師により実験群に対するプログラム提供を行った。対照群、実験群ともに、がんへの適応状態、健康関連QOL、抑うつ尺度について、基準値、終了値、フォローアップ値を縦断的に測定している。現在対照群のデータ収集を終え、実験群のフォローアップデータを待ちデータ分析中である。

研究成果

• [文献書誌] Komatsu, H., Iba, N., Tonosaki, A., Hayashi, N., et al.: "Development of the Day Care Model for cancer patient receiving adjuvant chemotherapy in the outpatient setting"First International Conference, Japanese Society of Cancer Nursing. Proceedings. 54 (2003)
• [文献書誌] 片桐和子, 小松浩子, 射場典子, 外崎明子, 南川雅子, 酒井禎子他: "継続治療を受けながら生活しているがん患者の困難・要請と対処-外来・短期入院に焦点をあてて-"日本がん看護学会誌. 15巻2号. 68-74 (2001)
• [文献書誌] 酒井禎子, 小松浩子, 林直子, 射場典子, 外崎明子, 南川雅子他: "外来・短期入院を中心としたがん医療の現状と課題-外来・短期入院を中心とした医療に携わる看護婦の困難と対処-"日本がん看護学会誌. 15巻2号. 75-81 (2001)
• [文献書誌] 外崎明子, 小松浩子, 射場典子, 林直子, 片桐和子, 酒井禎子: "がん医療に携わる医師が認識する外来診療の現状と課題"日本がん看護学会誌 第16回日本がん看護学会学術集会講演集. 16巻特別号. 53 (2002)
• [文献書誌] 射場典子, 小松浩子, 外崎明子, 林直子, 片桐和子, 酒井禎子: "継続治療を受けながら生活しているがん患者の適応-外来・短期入院に焦点を当てて-"日本がん看護学会誌 第16回日本がん看護学会学術集会講演集. 16巻特別号. 54 (2002)
• [文献書誌] 林直子, 小松浩子, 射場典子, 外崎明子, 片桐和子, 酒井禎子: "外来・短期入院においてがん医療に携わる看護婦の現状認識と適応"日本がん看護学会誌 第16回日本がん看護学会学術集会講演集. 16巻特別号. 132 (2002)