研究課題
先進各国において、教育における高度情報通信技術(ICT)の役割の重要性に対する認識が高まっている。わが国においても、産官学さまざまな方面において、ICTを利用した新しい教育方法・形態の研究開発の必要性が指摘された。その一方で、ICTの教育・学習に与える影響については解明されない点は多く、その調査・研究が待たれるところである。こうした問いに答えるべく、OECDでは、1999年度よりOECD/CERI(教育研究革新センター)を中心に、"ICT AND THE QUALITY OF LEARNING(情報通信技術と教育の質)"プロジェクトを立ち上げた。この国際共同プロジェクトでは、(1)教育ソフトウエアの品質を保証するシステムと品質基準の確立(第1部会)、(2)最新ICTを活用した教育の実践例の収集およびICTの教育/学習におよぼす影響の実証研究(第3部会)等を行う計画で、日本の積極的参加が期待された。本研究課題では、こうした国際共同研究と連携を図りつつ、教育ソフトウエア品質保証システムに関する調査・分析を行うとともに、ICTの教育/学習におよぼす影響について、ケース研究、実験的検証研究を実施した。OECD主催の専門家会合に分担して出席、各国代表と意見の交換を行った結果、ケース研究、実験的検証研究ともに、OECD加盟国の動きと歩調をあわせ、また同機関の研究プロジェクトと整合性のある、適切な方法論を確立することができた。ケース研究については、先進的実践を行っている小学校、中学校、各3校を選定し、実地調査を実施した。準実験的デザインによる実験的検証研究についても、2回のアンケート調査を完了した。結果は来年度をかけて分析される。また、これと関連し、欧米および大洋州の先進事例を調査した。その成果は、研究報告書のほか、ホームページを通じて公表する計画である。